来日延期のサウジ皇太子 脱石油、エンタメ推進、女性権利拡大 日本アニメも好きな38歳
20日からの来日予定が延期となった、サウジアラビアのムハンマド皇太子。イスラム教の戒律が厳しい保守的な国として知られる同国にあって、近年は「脱石油」やエンターテインメント産業の推進に尽力し、女性の権利拡大も進める。日本のアニメ好きという一面もある38歳は、どんな人物なのか。 サウジでは2022年10月、日本アニメを一堂に集めた「サウジアニメエキスポ」を首都リヤドで開催。会場にはアニメのコスプレをした若い女性らの姿もあった。19年の初開催時は宗教上の理由でアニメ作品の肌の露出に制限もあったが、22年の回は柔軟だったという。 ■ドラゴンボールのテーマパーク計画 同国は16年、国家成長戦略「ビジョン2030」を発表。石油収入依存から脱却し、産業を多角化しようと改革を進めている。エンタメ推進もその一環で、自国のクリエーター育成やアニメ制作にも乗り出している。 これら一連の改革を主導するのが、ムハンマド皇太子。自身も日本のアニメやゲームなどのファンだといい、今年3月には、日本の漫画家、鳥山明さん原作の「ドラゴンボール」のテーマパークを同国に建設する計画も公表された。 日本政府関係者によると、今回の来日では、天皇陛下との会見や岸田文雄首相との会談のほか、漫画「キャプテン翼」原作者の高橋陽一さんら人気クリエーターを招いた会合も実施する方向で調整が進んでいたという。 ■首相就任、強権的との批判も 女性の社会参加も促進しており、サウジは女性の自動車運転を認めない唯一の国だったが、18年に解禁。以前は公共の場では男女の接触が避けられていたが、飲食店の男女別の入り口が撤廃されるなどし、女性の就労も増えている。 服装の規制も緩和されつつあり、街中でヘジャブ(スカーフ)で髪を覆わない女性もみられる。 一方、22年からは首相も務め、一部で政治手法が強権的との批判もある。18年に在トルコ・サウジ総領事館で起きた反体制サウジ人記者ジャマル・カショギ氏の殺害事件では、事件を指揮したとの疑いが浮上した。