山田孝之、仲野太賀らがレッドカーペットを闊歩「視点を変えると感じ方が変わり、さまざまな楽しみ方がある」<東京国際映画祭>
映画「十一人の賊軍」(11月1日[金]公開)W主演の山田孝之、仲野太賀らが10月28日、「第37回東京国際映画祭」のレッドカーペットに登場。さらにその後、東京・丸の内ピカデリー2で舞台あいさつが行われた。 【写真】レッドカーペットを歩き、ポーズを決める山田孝之 ■「第37回東京国際映画祭」のオープニング作品に選ばれた「十一人の賊軍」 映画「十一人の賊軍」は明治維新の中で起きた“戊辰戦争”の最中、新発田(しばた)藩(現在の新潟・新発田)で繰り広げられた歴史的事件・奥羽越列藩同盟軍への裏切り=旧幕府軍への裏切りのエピソードを元に、捕らえられていた凶悪な罪人たちが「決死隊」として砦を守る任に就く物語。 今回、オープニング作品として選ばれた本作から山田と仲野をはじめ、鞘師里保、佐久本宝、千原せいじ、一ノ瀬颯、小柳亮太、本山力、野村周平、白石和彌監督、企画・プロデュースの紀伊宗之が「第37回東京国際映画祭」に参加した。 ■声援が飛び交う中、インタビューに応じる山田孝之や仲野太賀らキャスト陣 「第37回東京国際映画祭」オープニングアクトとして山田、仲野らがレッドカーペットを闊歩。ステージに登壇した白石監督は、「オープニング作品に選んでいただいて、ありがとうございます! 今、世界で時代劇のブームが訪れる直前だと思いますし、この作品を世界に届けたいし、日本の映画界を盛り上げたいと思います。ぜひ見てください!」とあいさつし、会場を盛り上げる。 その後、キャスト、スタッフ陣がレッドカーペットを歩くと、沿道に押し寄せた大勢のファンから声援が飛び交う。 撮影時の思い出を聞かれた一ノ瀬は「ロケ地が遠かったんですが、山田さんがロケ地の近くに家を借りてくれて! そのおかげで、みんなで元気に撮影できました」と答え、野村は「その家に山田さんと2人で暮らすこともあって。一緒に魚をさばいたりして、カップルみたいに星を見ながら『きれいだね~』って話してました(笑)」と笑いを誘う。 この作品がきっかけで、私生活でも僧侶になった千原は「撮影がむっちゃしんどくて、役者って大変やなぁ~って思いました(笑)。あ、でも僕のシーンは1個もカットされてなかったので、素晴らしいものだと思います!!」と声を大にして伝える。 人生初のレッドカーペットを美しい黒のドレス姿で歩いた鞘師は、映画での1番見てほしいポイントについて「難しい…うーん、全部です!! ぜひ劇場で見てほしいと思います!」とアピール。 W主演を務めた仲野は「久しぶりに『東京国際映画祭』を歩いて、非常に興奮してます! 全部見てほしいけど、特に殺陣のシーン! 一生懸命頑張ったので、ぜひ見てほしいと思います!」と熱く語り、さらに今年やり残したことを聞かれると「うーん、やり尽くしました!!」と笑顔で話す。 もう1人の主演である山田は、撮影時の印象を聞かれ「必死でしたね、過酷な撮影だったので。でも、その生きることへの過酷さの美しさや、“生”に執着する醜さとかが、この映画の伝えるべきところかなと思います」とコメント。 白石監督も「みんなでレッドカーペットを歩けるなんて、思っていなかったのでうれしいです」と歩いた感想を述べ、「賊軍は活劇エンターテイメントとして作ったから、歴史が分からない人でも楽しんで見られるので、ぜひ劇場で大迫力の大きいスクリーンで見てほしいと思います!」とファンへのメッセージを送る。 インタビューの前後もキャストや監督たちはファンの呼ぶ声に反応し、この日のために作成した映画オリジナルステッカーを配ったり、サインを書くなどして大盛り上がりの中、11人はレッドカーペットを歩き切った。 ■白石和彌監督は映画化の経緯などを明かす 続けて行われた舞台あいさつには、山田、鞘師、佐久本、千原、一ノ瀬 、小柳、本山、野村、白石監督の9人が登壇。山田は「私が山田孝之です」→「Yes. I’m yamada」という通訳とのやり取りを繰り返し、早々に会場を盛り上げる。 そして、「物語の中でいろんな視点があって、視点を変えると感じ方が変わってきて、さまざまな楽しみ方がある作品です。時代劇ですが、現代に置き換えてもらっても同じようなことが感じられる作品だと思います」と作品を紹介。 映画初出演となった鞘師は、「今回、映画に初めて出演させていただいたのですが、先輩の皆さん方に支えてもらって頑張りました。でも、作中では戦う皆さんを支える側として頑張っております!」とアピール。 千原は「皆さん、今日はめちゃくちゃラッキーやわ! 衣装に着替えて、姿を見て気づいたけど、今日は年に3回ある異様に足が長い日やわ! きれいな俺を見られました!」と軽快なジョークを飛ばす。 白石監督は「ワールドプレミアという映画にとって1番大切な日を、『東京国際映画祭』で皆さんと迎えられたことに感謝いたします。『十一人の賊軍』は笠原和夫さんが書いたプロットが元になっています。そのプロットを60年の時を経て今、映画化できたことをうれしく思っているし、その分非常に緊張しています」と世界で初めての上映となるこの日を喜ぶ。 また、プロットの魅力や映画化の経緯を聞かれ「笠原さんの作品は。名もなき若者たちや名もなき犠牲者が描かれていることが魅力で、この作品だとそれが侍や賊たちです。彼らがどういう生き方をするのかということが、このプロットにも明確に書かれていて、それを今この時代にいろんな人たちに見てもらいたかったと言うのが1番です。それと、実は脚本をKindleで発見して、東映さんに相談したんです。そしたら、当時東映に所属していた紀伊プロデューサーが『ぜひ、やりましょう』って言ってくれて、それが映画化のきっかけです」と裏話を明かした。 ■山田孝之が笑いを交えて役どころを紹介 自身の役柄について、山田は「彼(政)は妻の元に帰る、それだけです。そのための行動が、他の人から見ると自分勝手で裏切り者にも見えるんですが、彼からすると妻の元に帰ること、それだけが正義で、ずっとコソコソやってる人です。なので、作中で『あ、そういえばこの人いたよね!』って思うくらい見事に姿を消してます(笑)」と笑いを交えて解説。 鞘師は「“なつ”は自分が信じた男性に裏切られた人なので、愛がテーマの女性であると考えています。それが分かりやすく描かれているわけではないですが、愛による心の動き方が全編であるので、そこを見てもらえたらと思います」と自身の見どころを紹介。 佐久本は「“ノロ”はとにかく政のことが大好きな、純粋な男の子です。その純粋さに、演じている僕自身も心が救われたところもありました。撮影中過酷だったんですが、過酷であればあるほど監督が無邪気に笑うようになったんです。それがだんだんノロに見えてきて、『もしかしてノロの分身は監督では?』と思ってやってました(笑)」と無邪気に話す。 一方、千原は「僕はお坊さんの役なんですが、この作品の後、本当にお坊さんになりまして。この映画やってるときは、まだ修行もやってないのでお経がへたなんです。でも、今はめちゃくちゃお経がうまい! なので、お経がへたな俺を見られるのはこの映画だけです! 楽しんでください」とここでも会場を笑わせる。 一ノ瀬は「“二枚目”は心の優しい青年だと思ってます。彼の犯した罪も巻き込まれ事故っぽい感じで、死罪になってしまって、でも個性豊かな罪人たちと生死を分かつ毎日を過ごすことで中身も二枚目になっていくので、人間としての成長も感じてもらえるように意識して演じました」と、役名負けしないくらいの爽やかさで語る。 元力士という経歴を持つ小柳は、「“辻斬り”は自己中だけど、どこか正義感のある役だと思ってます。この役は力士を引退してから4ヶ月後くらいにお話を頂いて『まさか、俺が!?』と、こんな運命的なお誘いがあるのかと驚いたのが第一印象です。また、僕自身この映画の舞台である新潟出身で、その映画に携われたことに一生分の運を使ったくらいうれしいです」と喜びを口に。 すご腕のお爺を演じた本山は、「彼は時代の流れに逆らわざるを得なかった侍で、その侍が武士(もののふ)としていかに生きるか、というのを意識して演じました」と明かす。 この中で唯一、罪人ではない役を演じた野村が「そんなこいつらを引き連れているリーダーです! 僕の役柄についてあれこれ言うとネタバレになってしまうので、一言で言えることは、悪くないけど悪いやつって感じです(笑)」と話すと、山田に「今日、何か言ってそうで何も言ってないよね?(笑)」と突っ込まれ、2人は仲の良さを見せる。 最後に、監督から「映画を作る上で、一作家としてテーマや裏テーマを考えることもあるんですが、この作品は純粋に活劇エンターテイメントとして作ったので、心から楽しんでほしいと思ってます。侍最後の時代に生きた、名もなき者たちの魂の叫びと生き様を見てもらえるとうれしいです」と映画への熱い思いを語り、イベントは幕を閉じた。