解体が遅れる「新国立競技場」改修問題 今どうなってるの?
今でも根強い「建設反対」の声
また、新国立競技場の建設には当初から反対の声が少なくありませんでした。 反対の理由としては、まず現状の概算で約1700億円(解体費用を含む)といわれる建築費や、芝生の維持なそに掛かるランニングコストが高額過ぎること。また、巨大過ぎて周辺(神宮外苑)の景観や環境を破壊する懸念が指摘されています。 JSCから景観などに配慮した改善案が示され、解体工事のスタートが目前に迫っている今でも、日本を代表する建築家である槇文彦氏が「更地になってからでも、いろいろな考え方があるのではないか」と、屋根を設けるのを観客席上部だけにとどめる「無蓋化」と子供スポーツ施設の併設を提言(2014年8月の雑誌インタビューに答えた発言)するなど、計画案を不安視する意見は消えていません。 JSCでは建築家との検討会や住民への説明会などを引き続き丁寧に行いながら「現状、実施設計を行っているところなので、よい意見があれば採り入れていく可能性はあります」(広報担当者)ということです。
2020年東京五輪の記念碑的な施設に
いずれにしても、新国立競技場は2020年東京オリンピックの記念碑的な施設として、将来にわたって日本を代表するスポーツの聖地になるはずです。建築費などの金額の問題だけでなく、日本人が誇りに思えるような「理に適った」競技場になってほしいもの。待ったなしで走り始めた建設工事の中で、日本国民として、今後も注目するべき問題です。 ちなみに、JSCの公式サイト内の「新国立競技場」紹介ページから、さらに「コンクール概要」(国際デザインコンクール開催時の概要説明)をクリックすると、『「いちばん」をつくろう。』と題された新競技場のコンセプトなどが紹介されています。今まであまり興味がなかったという人も、ぜひ一度見ておくことをおすすめします。 (寄本好則/三軒茶屋ファクトリー) ・新国立競技場 コンクール概要