酪農家、初の1万戸割れ 6割が赤字
全国の酪農家の戸数が初めて1万戸を割った。多くが赤字を抱え、日本の酪農は生産基盤の危機を迎えている。 全国の酪農家の戸数は2024年10月時点で、前年同月比5.7%減の9960戸となった。酪農生産者の関係機関でつくる業界団体「中央酪農会議」(東京)が発表した。05年に調査を開始して以降初めて1万戸を割った。
前年同月比の増減率を見ると、22年以降に酪農家戸数の減少が加速している。円安、原油高が進んで生産コストが上がったことなどによる経営悪化が背景にあるとみられている。
同会議が24年11月に酪農家236人にインターネットなどを通じて行ったアンケート調査によると、58.9%が9月時点での経営状況について「赤字」と回答。47.9%が離農を検討したことがあると答えた。
現在の経営環境については、83.1%が「悪い」と考えており、悪影響の要因(複数回答)として円安(91.8%)、原油高(68.4%)、ウクライナ情勢(67.9%)などを挙げた。飼料や農機具、光熱水のコストが上昇する一方で、牛や生乳の販売収入の減少を訴える酪農家が多かった。
また、牛乳を月1回以上購入する一般人を対象に、同会議が11月に実施したインターネット調査では、98%が「国産の新鮮な牛乳が飲める環境を維持したい」としつつ、3分の2が酪農家の減少について「知らない」と答えた。