「マイ・デーモン」「Sweet Home」がヒット中!入隊を控えるソン・ガンが演じた歴代キャラクターを振り返る
年末年始にかけて話題作が並ぶNetflix。そんななかで、現在2本の主演作がランキング上位に位置している韓国の人気俳優ソン・ガン。「マイ・デーモン」はファンタジー・ラブコメディ、もう1本の「Sweet Home -俺と世界の絶望-」は大ヒットしたSFホラーの待望のシーズン2。まったく対照的な2作品で、観る者を惹きつけているソン・ガンとは一体、どんな俳優なのだろうか。これまで演じたキャラクターと共に改めて振り返ってみよう。 【写真を見る】人気絶頂の最中での入隊に「後悔はない」と語るソン・ガン ■900倍のオーディションを勝ち抜き“Netflixの息子”に 186cmの身長に、小顔で甘いマスク、まさに“マンチッナム”(少女漫画の世界から飛び出してきたようなイケメン)と呼ばれるビジュアルで知られるソン・ガン。1994年生まれの彼は、映画『タイタニック』(97)を観て、主演のレオナルド・ディカプリオに憧れ俳優を目指し、建国大学の映像演劇学科に進学。アイドル練習生のスカウトを何度か受けるが断り、俳優になることにこだわった。そして2017年、日本の漫画を原作にしたドラマ「カノジョは嘘を愛しすぎてる」のヒロインのバンド仲間役で俳優デビューを飾る。一躍注目を集めたのは2019年、Netflixオリジナルシリーズ「恋するアプリ Love Alarm」だった。同名のウェブトゥーンを原作にした作品で、好きな人が半径10m以内に入るとアラームが鳴る“ラブアラーム”というアプリが開発され、そのアプリを使ってしか恋の告白ができなくなった世界で繰り広げられる男女3人の高校生たちの恋愛模様を描く。900倍のオーディションを勝ち抜いたソン・ガンは、人気女優と政治家の両親を持つモデル出身のソノ役で知られるようになり、SNSのフォロワー数が25倍にも増えたという話も。 次ぐ2020年、Netflixオリジナルシリーズ「Sweet Home -俺と世界の絶望-」に主演。前作の胸キュン満載の青春ラブストーリーから一転したSFホラーで、引きこもりのゲーマーで家族を亡くし、天涯孤独になった男子高校生がモンスターだらけの世界で生き残りをかけて戦っていく役どころだ。同名ウェブトゥーンを実写ドラマ化した本作は、韓国初のモンスタードラマとして世界的にヒット。Netflix作品に続けざまに出演するソン・ガンは“Netflixの息子”と呼ばれるようになる。 2021年以降も、Netflixシリーズの作品に出演。「恋するアプリ Love Alarm」のシーズン2に加え、ヒューマンドラマ「ナビレラ -それでも蝶は舞う-」で主演。幼い頃から憧れていたバレエダンスを70歳で始める老人と、23歳の若きダンサーの心の交流と絆を描く物語だ。撮影前に約半年間、バレエを習い、身体の使い方などを研究したソン・ガン。高身長を活かして踊る姿はタイトルのナビレラ(=蝶)が示す通り、蝶のように美しく、ドラマを盛り上げる。また、大ベテラン俳優パク・イナン演じる老人のバレエに懸けるひたむきさに影響されて、自身もダンサーとして成長していくという主人公を伸びやかに演じている。 続いて、恋愛ドラマ「わかっていても」に主演して話題に。愛は信じないが恋愛はしたい女子大生と、恋愛は面倒だけど友達以上恋人未満の相手は欲しい男性学生の甘くほろ苦い恋模様が描かれる。「夫婦の世界」で略奪女を演じて注目されたハン・ソヒが恋人に裏切られ失恋したばかりのヒロインを務め、ソン・ガンは息をするように甘い言葉をささやいて、本能的に女心を惑わすような“悪い男”。誰もが振り返るようなイケメンで、首にある蝶のタトゥーも妖しく色気がある。まさに“わかっていても”、こんな男と出会ったらやめられない、止まらない…。そんなキャラクターになりきって観る者の心をざわつかせた。 2022年の「気象庁の人々: 社内恋愛は予測不能?!」では気象庁を舞台に、仕事ができる女性上司と、頼りになる年下男子との職場恋愛の行方を描くラブコメディに挑んだ。前作とは違い、天真爛漫なキャラクター。「キム秘書はいったい、なぜ?」をはじめ、バリバリと仕事ができるヒロインが似合うパク・ミニョンを相手に、ソン・ガンは好きな女性には一途で気持ちをストレートに伝える男らしさがあり、仕事に対して真摯で豊富な知識を持つ頼もしい部下役をナチュラルに演じて、こんな年下男子がいて欲しい!と思った女性ファンも少なくないはずだ。 ■ヒューマンドラマでもファンタジーでも、出演作にハズレなし! わずか4年の間にさまざまなジャンルやキャラクターにチャレンジし、作品ごとに驚くほど違う顔を見せてきたソン・ガン。そして、2023年は、11月から主演作「マイ・デーモン」がNetflixで配信されている。本作は本物の悪魔と、とてつもなく傲慢で悪魔のように冷徹な性格の財閥令嬢が契約結婚したことから始まるファンタジーラブコメディ。ソン・ガンが演じるのは、人間を絶望から救う代わりに、その魂をやり取りすることで永遠の命を教授してきたデーモン(悪魔)のチョン・グウォン。ホテルのレストランで食事中の彼は、財閥グループの令嬢ト・ドヒに見合いの相手と間違われるというアクシデントに遭う。その夜、殺人鬼に襲われたドヒの命を救ったグウォンは、自分の手首にあったデーモンのタトゥーがなぜかドヒの手首に移り、デーモンとしての能力も失ってしまう。ただ、ドヒの手を握ると能力が戻ることに気づく。一方、財閥内に敵が多く孤立無援のドヒ。しかも、正体不明の殺人鬼に狙われているドヒはグウォンの弱味を握ると、自分のボディガードにならないかと持ち掛ける。グウォンは力を取り戻すため彼女と過ごすうちに、次第に心惹かれていく…。 完全無欠で魅力的なデーモンのグウォンを演じるソン・ガン。悪魔はシャープでなければと考えた彼は10kgほど減量して撮影に臨んだという。おかげで、今までになく高身長で小顔というパーフェクトなビジュアルが際立っている。また鍛え上げた筋肉美も見事で、シャツをはだけた際にチラリと覗く胸筋やバキバキに割れた腹筋が何ともセクシー。すっかり大人の男のたたずまいで魅了してくる。ドヒ役を務めるのは、「雲が描いた月明り」「ホンチョンギ」などで知られるキム・ユジョンたが、極度の人間不信で悪魔顔負けの非情な令嬢をゴージャスに演じる彼女とのケミもいい。悪魔と人間のファンタジックなラブストーリーに、ヒロインを狙う殺人鬼や財閥内の人間模様もスリリングで、グイグイと引き込まれるはずだ。 そして、12月からは「Sweet Home-俺と世界の絶望-」シーズン2の配信が始まった。 “グリームホーム”というアパートを舞台に、残忍なモンスターと化した人間たちと死闘を繰り広げ、そんな戦いのなかでソン・ガン演じる高校生ヒョンスは感染しながらも、怪物化することなく特殊感染者としてグリーンホームの仲間たちと戦う姿が描かれた前作。シーズン2ではグリーンホームを離れた生存者たちは軍によって、安全キャンプに移送される。しかし、そこも安息の場ではなく、モンスターたちとの戦いを余儀なくされる。一方、ヒョンスはワクチンの研究を進めているパムソム特殊災難基地へと連れて行かれるが…。新たな舞台に加えて、新キャラクターも登場。物語はよりスケールアップし、謎も深まっていく。それぞれが生き残るために、決断を迫られ、死闘を繰り返す過酷な世界。とくに、特殊感染者のヒョンスは人間か怪物かの選択に苦悩、葛藤することになっていく。果たして、ヒョンスの運命は? アクションもスケールも格段にパワーアップした本作でのソン・ガンの活躍ぶりは目を見張る。 続くシーズン3は2024年夏に配信予定。今年9月には自身2度目となる来日ファンミーティングが開催され、日本での人気も絶大だ。だがすでに報じられている通り、ソン・ガンは軍への入隊が決まっており、この「Sweet Home」シーズン2が入隊前の最後の作品になる。新作2本が配信開始されたいま、ファンはもちろん、これまで未見だった人もぜひ、ソン・ガンの魅力に触れてみてほしい。 文/前田かおり