亡き祖母も「世界で戦ってきた」と語っていた…森星が考える「日本の美」とは[FRaU]
2024年、さらに激しく変わりゆく世界、そして日本。自分にとっての「ほんもの」を見極めないと、誰もが、今後どう生きていくのか、わからない時代になりました。日本からの「ほんもの」Authenticの「心地よさ」Luxury=Japan's Authentic Luxury、略してJAXURY(ジャクシュアリー)について、国内外で注目される、ジャンルや世代、国籍を超えた表現者、研究者の声を、言葉を、ここにお届けします。 今回は、モデルとして、クリエイティブディレクターとして、日本の美を再定義し、発信する活動を行っている森星さん。彼女が考える「美」について語っていただきました。
何が『ほんもの』か『ニセモノ』か、わからない
アジアンビューティモデルとカテゴライズされた枠を飛び越え、ワン&オンリーな存在として世界の舞台で活躍している森星さん。彼女にとって『美』とはいかなるものなのか、伺ってみた。 「今まさに美というものを追求しているところなんです。モデルとして、人として、そしてものづくりにおいて。モデルという職業を通して、もっともっと美を深掘りしたいと思っていて、純粋にそういう気持ちがパッションにつながっています。美しいものをクリエイトしている人と出会うチャンスに恵まれていることもあり、そういう方たちと触れ合ううちに、あらためて日本の内側に立ち返りたいと思うようになりました。 写真:Chika Kisada/幼い頃からクラシックバレエに親しんでいたデザイナー。バレエの持つ儚さや繊細さと、相反する強さや反骨精神を融合したアバンギャルドさが魅力。工事現場などで使用されるガラ袋を素材にしたドレスに、バレエの衣装であるチュチュから着想をチュールドレスを重ねたスタイルは、着ている人の動きを優美に描き出す。チュールドレス¥320000 ベアトップのドレス¥270000(チカ キサダ)ピアス¥70400(ビジュードエム)
というのも、色々なルーツを持つ方々が、私が日本で生まれ育ったと知ると、それだけで心を開いてくれることが多いんです。日本の伝統文化がいかに世界から愛されているかを肌で感じるんです。でもそれは先人たちが道をつくってくれたから。亡くなった祖母もよく『世界で戦ってきた』と話していたけれど、戦うというのは相手と対峙することではなく、自分の文化に誇りを持つことで、相手へのリスペクトも生まれるということなんです。自国のオーセンティックな価値がわかった上で世界の土俵に立てるのだ、と。それに気づいてあらためて日本を意識するようになりました。 私は父が日本人で、母がアメリカ人のダブルです。ですが日本で生まれ育ったので心は日本的。外向的に見られがちですが、内向的な部分もあり、たまに自分の殻を破りたい、とも(笑)。もっと主張しないとダメだよ、とも言われることもありますが、日本人らしい慎ましさ、振る舞い、所作の美しさを磨きながら、殻を破ることもできるはず。次の10年に向けて新しい自分を発掘していきたいですね」 写真:Mame Kurogouchi/17世紀前半の初期伊万里にインスピレーションを得た今シーズン。当時の磁器の技術である「陽刻」を思わせるエンボス加工を施したシルクコットンのシャツドレス。淡いトーンが磁器のように輝いて。ドレス¥330000(マメ クロゴウチ/マメ クロゴウチ オンラインストア ネックレス¥66000(ビジュードエム)