阪神・新井「巨人には気持ちで勝つしかない」
阪神は、このまま終戦を迎えてしまうのか。 鳥谷の4番。 西岡の三塁…打つ手打つ手が空回りだ。 とにかく打線がつながらない。 おまけに復帰してきたばかりの福留がまた故障した。 “一応”の首位決戦だった8月27日からの巨人戦では、ゲーム差を少しでも詰めるどころか、逆に3連敗してゲーム差は、絶望的に広がった。そのショックからか、次の広島3連戦も負け越した。巨人との直接対決は、殘り4試合しかなく、6日から本拠地、甲子園で行われる3連戦で一矢を報いなければ、その先にあるクライマックスシリーズの展望さえ見えてこなくなる。非常に危機的な状況なのだ。 広島担当時代から旧知である新井貴浩は、どう考えているのだろう。 「確かにどう見ても巨人とのトータルで戦力の差というか、地力の差があることは否定できません。普通に何も考えずにやっていれば追いつかないでしょう。でも、その差を何で埋めるかを僕らは考えないといけないと思っています」 巨人との、その差をどう埋めるか。 それは選手だけが考えることではないのかもしれない。 だが、新井は、こんな決意を口にしていた。 「ここで精神論を出すつもりはありませんが、気持ちで勝つしかない。チームのまとまり一丸になる力でしょう。それしかありません」 チームに明るい材料は少ないが、昨年の5位から一転、ここまでセ・リーグの2位をキープしてきた戦いの中には、それなりの理由はあった。安定した投手力を背景にした守りの野球が基本線だが、そこに和田監督の采配の妙が見えた時期もあった。 新井は、コメントをすることを嫌がったが、そこは古い付き合いだ。「僕がこんなことを偉そうに語る立場にないことは分かってください」という前提で無理やりに口を開いてもらったことがある。 「和田監督は、去年に比べて落ち着いてられるように見えます。それと随所で攻撃的な野球になったことが伝わってきます。若い選手を使い、彼らの競争心を高めることで、僕らもウカウカしていられないという気持ちになります。若手、中堅、ベテランがうまく噛み合い、まとまりになっているように感じます」 ピッチャー陣は、ギリギリ踏ん張っている。チームの黒星が重なっている今こそ、若手、中堅、ベテランの野手が融合して一丸のムードを作らねばならない。 新井の言う「気持ちの野球」をドン底の和田阪神は、対巨人3連戦で見せてくれるだろうか。 (文責・駒沢悟/フリーライター、元スポーツ報知広島番記者)