「NFTは死んでいない」代替できない唯一無二な特徴をもつNFTだからこそできる役割とは?
実際、NFTのアップデートはさまざまな領域で発生しています。NFTの活用事例の増加はもちろん、日本において大きいのは国がサポートする体制が整ってきたことが挙げられるでしょう。本書でも執筆いただいている自民党web3PT(プロジェクトチーム)の方々によるルールメイキングで、事業者がビジネスしやすい土壌が整えられています。 また、これによりこれまではスタートアップ中心だったものが、NTT、KDDI、メルカリ、楽天、SONYなど、さまざまな大企業がweb3、NFT事業に参入をはじめています。 また、世界で見ると、ヨーロッパではアートやファッションのプロジェクト、アジア圏ではゲームやマンガ・アニメコンテンツを中心としたエンタメ領域のプロジェクトが多数生まれている印象です。ドバイ、サウジアラビアなど、中東諸国では国を挙げてweb3プロジェクトを進めるケースも増えてきました。 3年前は黎明期ということもあり、NFTはシンプルにイラストやアートとブロックチェーンを紐付けるケースが多かったと思います。しかし現在ではNFTに加え、暗号資産やSBT(ソウルバウンドトークン、ID等に利用される譲渡不可能なNFT)、ポイントなどを組み合わせたトークンエコノミクスが複合的に設計され、そのなかで代替できない唯一無二な特徴をもつNFTだからこそできる役割やユーティリティ(利用用途)として組み込まれることが主流になってきました。 ユーティリティの変化でいうと、NFTはあるコミュニティへのアクセス権といったかたちで使用されるケースが確立してきています。大企業がロイヤリティプログラムなど、次世代のマーケティングとしてトークンエコノミーを使った試みを開始しているのです。これまでは主にマネタイズをしていたのは暗号資産取引所と通貨(プロトコル)が中心でした。 しかし、NFTがでてきたことにより投資目的の金融商品としてだけではなく、実際に使われるアプリケーションとして認識が進み、さまざまなマネタイズ方法が生まれてきています。そのアプリケーションに接続する手段としてウォレットも進化し、トークンホルダーコミュニティと共創するかたちでさまざまなビジネスや取り組みをするといった状況になっている現状です。 図3はUSドル建てのNFT取引額、右は取引件数です。少し小さくてわかりにくいかもしれませんが、ドル建てでの取引額は2024年現在ではまだ回復していませんが、取引件数は一定量が継続的にあるのです。