コロナ後V字回復の南紀白浜空港利便性向上へ 紀伊田辺駅とつなぐ連絡バス実証運行
和歌山県は、JR紀伊田辺駅(田辺市)と南紀白浜空港(白浜町)をつなぐ連絡バスを実証運行している。来年1月5日まで。同空港は令和4年度以降、年間約20万人以上が利用しており、利便性向上によってさらなる利用者の増加を目指す。 【グラフでみる】南紀白浜空港の搭乗者数の推移 バスは、南紀白浜と羽田を結ぶ飛行機の便の発着時間に合わせて1日3往復の計6便。県や関係自治体、観光協会などでつくる「南紀白浜空港利用促進実行委員会」が主体となり、実際の運行は明光バス(白浜町)が担う。27人乗りの中型バスで、予約なしで利用することができる。天候などでフライトの発着時間が変更された場合、バスの運行時間も連動して変更される。 紀伊田辺駅から空港へ向かう往路は、田辺市役所や白浜駅(同町)、白良浜(同町)などで停車するが、乗車のみで途中下車することはできない。一方、空港から紀伊田辺駅行きの復路は、アドベンチャーワールド(同町)、白浜駅などで停車するが、降車のみで途中から乗ることはできない。便によって停車する場所が異なる。 料金は距離に合わせて500円から1千円。 県によると、同空港の搭乗者数は、令和元年度(約17万7千人)まで増加傾向にあったが、新型コロナウイルス禍の影響で2年度は約8万5千人に激減。その後回復し、5年度には約22万9千人とコロナ前を上回っている。 同空港は紀南地域の空の玄関口となっており、今年世界遺産登録20年を迎えた「紀伊山地の霊場と参詣道」を構成する熊野古道の観光客らも利用しているとみられる。同空港は連絡する鉄道がなく、近隣の駅からバスやタクシーを利用する必要がある。空港の利用者増加に伴って同町内でタクシーの不足も指摘されており、ほかの交通の便の確保が課題となっていた。 県港湾空港振興課の担当者は「和歌山に来ていただいた観光客らがスムーズに移動できるよう実証運行を通じて必要な整備の検討を行っていきたい」と話した。