資産運用のプロが指摘!「デイトレーダーになりたい学生」にありがち、おカネを巡る「致命的カン違い」とは?
お金に支配されない自由な人生を送りたい、そう考えてデイトレーダーを志望する学生は少なくないという。果たして本当にデイトレーダーになれば、「お金に支配されない人生」が送れるのか?「お金に使われず、使う立場になる」方法と、お金を増やすためのシンプルな4つの原則を投資のプロが解説する。※本稿は、熊谷幹樹氏『君の未来とお金の関係 格差社会を生き抜く投資の哲学』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● デイトレーダーになれば 「お金に使われない」のか? 「お金に使われる人生でなく、お金を使う人生を送ってほしい」。これこそが筆者の目的で、大学などで講義する機会があれば繰り返し伝えていることでもあるが、この言葉が一部の学生を喜ばせ、相談を受けることがしばしばあるのだ。 「おっしゃるとおり、就職して人に使われ、お金にも使われるような人生は送りたくありません。デイトレーダーになればお金を使う人生が送れるに違いない。どう思いますか?」という、デイトレーダー志望の学生諸君からの相談だ。 これには、株の大量誤発注に乗じてわずか16分で20億円の利益をあげた某有名トレーダーのように、トレーダーがネットであたかもスターでもあるがごとく持ち上げられている影響もあるに違いない。 わずらわしい上司も持たず、みずからの才覚のみを頼りとする一匹狼的なライフスタイル。さらにはわずか十数分で巨万の富を築くことも可能なデイトレード、つまりは「投機」の魅力に、学生諸君が惹かれる気持ちは理解できる。「若いうちはそれぐらいの山っ気があるほうが頼もしい」とさえ思うほどだ。 結論からいうと、大学の教員でもなく就職課の職員でもない私には、勧める気もなければ、止める気もないというのが正直なところだ。
● デイトレーダーは楽ではない 修羅の道を行く覚悟はあるか ただ私に言わせると、デイトレーダーという投機家は、「お金を使っている」存在に見えて、その実、「お金と働いている」存在でしかないと思う。デイトレーダーになれば就職しないで暮らせるように見えるものの、彼らはデイトレードという職業に就職してしまっている。かたやオフィス勤務、かたや自宅でモニターに囲まれてという違いこそあれ、本質は労働者であることに変わりはない。やはり「お金に使われている」のだ。 さらにいえば、トレーダーとしての人生を選択しても、その世界で勝てるのか?それも一度の幸運ではなく持続的に勝ち続けられるかは、まったく別の話なのだ。 そもそも、トレーダーとして日々売り買いを繰り返し、株式相場で目を見張る成績を上げ続けるのは生易しいことではない。トレーダーとは、日々、シビアに結果が求められる仕事で、そこで生き抜くには常時並々ならぬ勉強と、毛が生えたような強心臓が必要となってくる。何よりもセンスや嗅覚も必要だし、マネーゲームの対象となる企業やその従業員がどうなっても構わないという非情さも欠かせない。