神村学園、冬にチームで新基準バット対策 4番正林輝大が大会2号ソロ「本塁打を打つイメージがめちゃくちゃわいて」
◆第96回選抜高校野球大会1回戦 作新学院3―6神村学園(22日・甲子園球場) 昨夏の甲子園4強の神村学園が昨秋の関東王者の作新学院を破り、昨夏の準決勝で果たせなかった鹿児島県勢春夏通算100勝目を刻んだ。 ■九州勢はここまで3勝【選抜組み合わせと結果】 主砲の「祝砲」がメモリアル勝利に花を添えた。1点リードの3回、昨夏から不動の4番に座る正林輝大(3年)が「江川2世」とも称される大会屈指の最速147キロ右腕小川哲平から右翼のポールぎわへ飛び込むソロアーチを放ちチームを勢いづけた。新基準の低反発バットが採用された今大会第2号。「思い切りバットを振りました。入るかわからなかったので、入ってホッとした。すごくうれしかったです」。正林は甲子園6試合目で出た待望の自身通算14号に顔がほころんだ。1点差に追い上げられていた8回も右前へ適時打を放ち1点を追加。大事な局面での活躍で打線を引っ張った。 「私も実際に打ってみましたが3メートルから5メートル飛距離が違う」と小田大介監督が言う新基準のバット。冬の間は新しいバットでひたすら打ち込み、バランスや球をはじく感覚などを体に覚えこませた。正林は「新しいバットは幅が狭くて捉えるのが難しいけど、芯で捉えれば飛距離は出るので、飛ばそうとするのではなく芯で捉える練習をしました」。食事量を増やし筋力トレーニングでパワーをつけ、昨秋と比べて体重が最大で10キロ増加した。春からの練習試合でも一発が出て新基準バットの感触は上々。「本塁打を打つイメージがめちゃくちゃわいていて、打てる感じがしていた」と前日からワクワクしていた。 昨夏の甲子園は4番として準決勝までの全5試合に出場し打率4割3分5厘と好調だったが柵越えは出なかった。昨夏の鹿児島大会で優勝し甲子園出場が決まったとき、家族に「甲子園でホームラン打つから見とって」と約束していたが果たせず、この試合の前にも「今日絶対打つから」と伝えていた。家族との約束をようやく果たすことができて「家族の前で打てて良かった」と気持ちが楽になった。 強豪対決を制し最高のスタートを切ったナインの目標は初出場だった2005年の準優勝を越えること。「個人の結果ばかり求めるのではなくチームを勝利に導けるようにやるべきことをやりたい」と頼もしい4番打者は「フォア・ザ・チーム」を強調した。(前田泰子)
西日本新聞社