ローン債権をプライベートレンダーに売却-銀行のバランスシート対策
(ブルームバーグ): 英銀バークレイズは何年もの間、米国のクレジットカード事業をどうすべきか悩んでいた。同事業は安定した収益を生み出していたが、規制当局が損失に対するバッファーとして資本を確保するよう求めているため、その運営にはコストがかかっていた。
同行は2月、11億ドル(約1700億円)のカードローン債権を米投資会社ブラックストーンに売却するという解決策に至った。これは既存のファイナンシンング合意の一環で、バークレイズはサービシング手数料を徴収できるが、債権を保有しなくてすむ。一方、ブラックストーンは保険顧客向けに高い利回りを得ることができる。
要するに、バークレイズがブラックストーンのバランスシートを借りている形だ。
ブラックストーンのクレジット&インシュアランス部門の最高投資責任者(CIO)、マイケル・ザワズキ氏は「銀行は顧客と組成手数料に価値を見いだすが、われわれはただ資産が欲しいだけだ」とインタビューで語った。
バークレイズとブラックストーンの取引は当時ほとんど注目されなかったが、世界金融危機以降の融資業界の進化の新たな展開かもしれない。
資本規制が厳しくなるにつれ、銀行は特定の事業から撤退するか、ノンバンクのライバルに市場シェアを譲るしかなかった。規制当局がどのような反応を示すかは不明だが、今、銀行はこうしたライバルと提携し、双方に利益をもたらそうとしている。
バークレイズとブラックストーンが提携を発表した直後、キーコープとブラックストーンも同様の提携を発表した。複数のプライベートクレジット会社の幹部はインタビューで、米国の大手銀行を含め、さらなる取引について話し合いを続けていると明らかにした。
キーコープの幹部でブラックストーンとの取引に関連の事業を監督するランディ・ペイン氏は、銀行は原資産の保有者が誰であれ顧客にサービスを提供するための資本効率の高い方法を探していると説明。「それが提携の構築を意味するのであれば、それを模索する」と述べた。