「プーチンをヒグマから守った男」が次のロシア大統領に…これから25年間に世界で起こる「大事件」
どの国が中ロ側に立つのか
現在の国際情勢を手がかりにすると、将来的にどの国が中ロ側に立つかが見えてくる。有力な候補がイランだ。 「現在、中国とロシアとイランは基本的に協力し合っています。ウクライナ戦争ではイラン製の無人機と北朝鮮製の武器弾薬が使われ、中国も水面下で支援しています」(前出の宮家氏) ただし中ロとの連携をさらに深めるために、越えるべき「体制安定化」というハードルは高い。 「最高指導者のハメネイ師を頂点とする現在の政治体制について、イラン国民の間では不満が広がっている。『第二次イラン革命』が起こって体制が大きく変われば、内政に注力し海外への関与を減らしていくでしょう。ハマスやヒズボラなどイスラム系のテロ組織への支援を打ち切れば、中東ではイスラエルが相対的に勢力を拡大していく。強いイスラエルがガザを併合し、パレスチナ問題が決着するかもしれません」(前出のカプラン氏)
帰趨を決めるのはインド
中国とロシアが手を組めば、軍事作戦に情報戦やサイバー攻撃などを組み合わせて、巧妙な「ハイブリッド戦争」を仕掛けてくるに違いない。それに対して、日本を含む西側陣営はどういった顔ぶれで臨むのか。 ヨーロッパ諸国(EU)が味方する可能性は高いが、今後25年間でEUが世界のGDPに占める割合は約17%から10%未満へ低下する見通しだ。加えて、25年後までにアフリカから数百万人の規模で移民・難民が押し寄せ、EU域内で2015年の「欧州難民危機」のような大混乱が生じる恐れもある。 カギを握るのは、2050年には人口約16億人、GDP世界第2位の大国となっているインドだ。中国とは60年以上にわたって国境紛争を抱えていて、2020年には戦闘で死者も出ている。またアメリカ、日本、オーストラリアとともに、インド太平洋地域で中国に対抗する戦略的な同盟「QUAD」のメンバーでもあるため、膨張する中国を食い止めようと動くだろう。 「度重なる経済危機と災害で、隣国パキスタンは崩壊が近いとも言われます。その空白地帯に敵対するインドが入り込めば、さらに強大な国になるでしょう」(カプラン氏) こうしてアメリカvs中国、つまり新しい「連合国」と「枢軸国」に世界が分断されるのが、想定しうる第三次世界大戦のシナリオだ。ただし過去2度の大戦とは異なり、明確に勝敗がつかないまま終わるだろう。世界規模でサプライチェーンが張り巡らされた現代では、敵国のダメージが自国の経済に跳ね返るからだ。 大戦を経た世界ではかつてのアメリカのような覇権国は現れず、米中印などの大国が各地域の覇権を握り、それぞれの縄張りを牛耳るボスになる。在韓米軍に続いて在日米軍も撤退、あるいは縮小すると予想される中、日本はアジアの最前線でどう振る舞うべきか。 「共産党政権が続けば、技術流出やスパイ容疑で逮捕されるリスクを懸念した企業が中国を見限り次々と撤退していくはず。TSMCの工場を熊本に誘致したように日本がその受け皿になれば、むしろ安全な国として世界での評価も高まるでしょう。地道に各国から信頼を勝ち取ることこそ、日本の発言力にもつながるはずです」(前出の上久保氏) 激動の時代だからこそ、日本にとって大きなチャンスとなるかもしれない。 「週刊現代」2024年10月5・12日合併号より
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