秋・春の苦戦を糧に。逆境も跳ね返して、浦和実の快進撃を夏にみせる
例年安定した成績を残す浦和実。埼玉西武ライオンズ・豆田泰志投手の母校でもある。 2022年、2020年(独自大会)の夏は、ベスト8進出を果たし、この夏も注目が集まる。 【動画】大迫力!高校生・豆田泰志の直球が凄まじかった...
練習時間2時間程度、実戦練習が出来ない限られた環境
浦和実はさいたま市南区に校舎はあるが、グラウンドは自転車で40分ほど離れた場所にある。授業が終わってから、アップも兼ねて自転車でグラウンドに向かい、16時半から練習を開始。 ただ、グラウンドの環境上、打撃練習はほとんどできない。 グラウンドを囲うネットが低かったり、住宅が周りにあったりすることもあり、ゲージ内でのバッティングのみで実戦練習がほとんどできない。他の学校と比較すると決して練習環境は整っているとは言えない。それでも、主将である齊藤雄心は、「それを理解して入学してきています。環境や時間によって練習メニューに限りがあっても、素振りやノックなど練習量を積み、時間を注ぐことが出来ます。 たしかに実戦練習ができないので、練習試合でしか試合感覚は養えません。だから練習試合は大事ですし、普段の練習から試合を想定することは意識しています。ノックなら前に攻める。バッティングなら初球から強く振るといったことを1つずつ意識して、丁寧にちゃんとやるべきことをやりきることが大切だと思います」と語る。 齊藤主将の話す、「やるべきことをやりきる」という姿勢。これは、チームを20年以上率いる辻川正彦監督も選手たちに伝えている浦和実の根幹の部分でもある。 辻川監督が浦和実に就任した当初、部員は12人。現在3学年80人で、控えチームも編成できる大所帯からは想像もつかない規模だったが、就任5年目には県大会でベスト8進出に導き、秋には関東大会の切符を掴んだ。 辻川監督いわく、「当時は厳しく指導しながら、選手を鍛えてきました」と振り返るが、そこには県内のライバルである大宮東や上尾のように、「やるべきことをしっかりやる雰囲気を目指したい」という思いがあったから。 さらに選手たちに対して、「学校の看板を背負っている」ことを自覚させるためにも、練習のみならず、学校生活もきちんと過ごさせるようにしたかった。だから、「やるべきことをやりきる」ことを伝えてきた。