山本尚貴、歓喜の表彰台の裏で……好調も悔しい5位に終わった佐藤蓮。一時2番手走行も戦略がハマらず「レースにはすごく自信を持っていた」
鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーフォーミュラ開幕戦では、大怪我からの復帰戦となる山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)が3位表彰台を獲得。サーキットは暖かい拍手に包まれたが、その一方でチームメイトの佐藤蓮は、山本同様に表彰台獲得に相応しいポテンシャルを見せながらも結果は5位に終わった。 【リザルト】スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿:決勝結果 予選で山本のひとつ前、4番グリッドからスタートした佐藤は、スタートで2番手に浮上。トップを走る野尻智紀(TEAM MUGEN)にはやや差をつけられたが、一方で3番手以下とのギャップも築いて安定した周回をしていた。 10周目にタイヤ交換義務の消化が可能(=ピットウインドウオープン)となると、後続のライバルは続々とピットへ。13周目には野尻もピットインした。そしてその2周後の15周目、チームは佐藤をピットに呼び込んだ。作業を終えて野尻、山下健太(KONDO RACING)の後ろでコースに復帰した佐藤だったが、後続が次々と襲いかかってくる中でコールドタイヤでは防戦できず、アウトラップで実質7番手まで後退してしまった。 最終的に5位まで追い上げるも、表彰台には届かず。テストから好調を維持し、佐藤からは常にポジティブなコメントが出ていただけに、そのポテンシャルを活かしきれない週末となった。 「週末を通してトップ5にいる状況で、クルマの調子は常に良く、レースに向けてもすごく自信を持って挑んでいました」 そう語る佐藤。当初は20周近くまでタイヤ交換のタイミングを引っ張る予定だったが、チームから指示が飛んだことで早めのピットストップとなった。佐藤は予定外の指示に無線で「なんで?」と尋ねたが、担当の加藤祐樹エンジニアは「野尻に被せる」とその意図を説明していた。また加藤エンジニアはチェッカー後の無線でも「後で要検証だけど、あのまま行ったらかなり(タイムが)落ちちゃいそうだったので判断しました」と補足を入れている。 アウトラップで大きくタイムをロスする形となってしまった佐藤。各車のアウトラップのタイムを見ると、セクター1(ホームストレートから逆バンクまで)は各車の作業時間も含まれるため一概に比較はできないが、逆バンク立ち上がりからデグナー立ち上がりまでの短い区間であるセクター2でも、佐藤のタイムは野尻、山下、山本らライバルよりも約1秒ほど遅い。 「ミニマム(最小周回でのピットイン)組が入った時の方が路面温度が高かった中で、彼らの方がウォームアップも少しは良かったのではないかと思います」と佐藤は言う。 「少し戦略で失敗してしまい、それが全てだった」 次戦オートポリスに向けては「気温も標高も全然違いますが、サーキットの特性としては似たような部分もあるので、鈴鹿ベース(のセットアップ)で大きく外さないように準備をしたいです」と話した。
戎井健一郎
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