きらびやかな「庄三風」に魅せられ絵付け 明治期流行の九谷焼作風、よみがえらせ継承
石川県の伝統工芸「九谷焼」の絵付け作家山☆(崎の大が立の下の横棒なし)大輝(やまざき・だいき)さん(26)=石川県川北町=が、鮮やかな洋絵の具と金彩がきらびやかな「庄三風(しょうざふう)」と呼ばれる明治期に流行した作風を現代によみがえらせ、注目を集めている。江戸―明治に陶画工として活躍した九谷庄三(くたに・しょうざ)(1816~1883年)が築き上げ、海外からも高く評価された作風で、山☆(崎の大が立の下の横棒なし)さんは独自の構図や色使いを取り入れる工夫も重ねる中、ファンが付き伝統継承にまい進する。(共同通信=乾真規) 子どもの頃から「石川の伝統工芸を仕事にしたい」と考えていた。高校卒業後の2017年に、絵付け作家を目指し県立九谷焼技術研修所(同県能美市)に入学。偶然立ち寄った展示会で庄三の作品を目にし、「細かくてキンキラキンでかっこいい」と感銘を受けた。 庄三が確立した和洋折衷の華やかな画風は国内外で人気となり、明治期に九谷焼は盛んに輸出された。しかし、現代では洗練されたモダンな作品が好まれる傾向にあり、庄三風に取り組む作家はほぼいなくなった。
山☆(崎の大が立の下の横棒なし)さんは研修所の先生から「そんな古くさいの売れないよ」と言われることもあったが、ぶれることなく暇さえあればスケッチブックに絵を描き、腕を磨き続けた。 転機は2019年に研修所で行った制作展示会。山☆(崎の大が立の下の横棒なし)さんの作品を見た北陸の伝統工芸品を扱う店「縁煌(えにしら)」(金沢市)の関係者から声がかかり、酒器4点を卸した。すぐに買い手が付き、「このままやっていける」と確信した。卒業後、2020年に能美市九谷焼美術館の臨時職員となり、絵付け体験の指導スタッフに従事する傍ら、制作に励む。 2023年秋に縁煌で初の個展を開催、県内外からファンが押し寄せた。「伝統的な絵を守り、受け継ぎながら、自分らしい表現も磨いて発展させたい」。そう語る山☆(崎の大が立の下の横棒なし)さんの目に迷いはない。