<フィギュア>真央、宮原、世界との差をどう埋める?
今季6試合あったグランプリファイナルシリーズで、宮原は出場したすべての大会で表彰台に上がり、NHK杯で優勝、グランプリファイナルでも2位につけた。ロシア勢が参加しない四大陸選手権では優勝をしている。 宮原は、その群を抜く安定力で世界のトップスケーターの仲間入りを果たしたが、2年後のオリンピックで金メダルを取れるかどうか想定すると、課題は浮き彫りになった。 また今季復帰を果たした浅田も、中国杯で優勝、NHK杯で3位に入ったが、グランプリファイナルでは6位に終わっている。浅田の円熟味の増した表現力は、“真央ワールド”とも呼ぶべき世界観を復活させたが、大きな特徴であるトリプルアクセルの出来、不出来で演技全体が左右されるという“波”を解消することはできなかった。 では、日本女子勢が、来季、そして2年後のオリンピックで世界のトップに君臨するためには何が必要なのだろうか。 中庭氏は、こういう意見を持っている。 「世界のトレンドとしては、ロシアの10代の若手選手を軸に3回転+3回転、ステップからジャンプという、つなぎの部分の技術を高め、出来栄え点をいかに稼ぐか、という技術点重視の流れがあります。おそらく来シーズンも、その流れは変わらないでしょう。 そういう世界のトレンドを鑑みると、回転不足、エッジエラーなどの“記号”を採点表につけられないことが重要になってきます。つまりミスをなくし正確で安定した技術の習得が必要でしょう。苦手なジャンプの克服も必須です。浅田選手、本郷選手、村上佳奈子選手らが、ルッツジャンプを苦手としていますが、ルッツを正確に跳べる選手が上位に食い込む傾向は顕著です。 また浅田選手以外の選手が課題としている演技構成点についても、表現力をどう高めていくかの努力が必要になります。ジャッジが主観で採点する部分なので、それぞれの選手にレッテルのようなものが存在することも事実ですが、宮原選手や、本郷選手らは、今シーズンの経験値を踏まえ伸ばすことは可能だと考えています。 来シーズンは、世界ジュニアで表彰台に上がった樋口新葉選手らがシニアデビューしてくるでしょうし、日本勢の中での競争もより激しくなることが考えられ、世界のトップとの差を縮める期待感が高まります」 韓国・平昌オリンピックのプレシーズンともなる重要な来シーズンに、日本女子勢が、どこまで成長を遂げることができるのか。期待と不安を抱えたまま、真央復帰で沸いた2015-2016年シーズンは閉幕となった。