<フィギュア>真央、宮原、世界との差をどう埋める?
フィギュアの世界選手権の女子シングル、フリースケーティングが現地時間2日に米国・ボストンで行われたが、日本勢は表彰台に上がることができなかった。ミスのない演技でまとめた宮原知子(18歳、関大)が計210.61点でSPよりひとつ順位を上げて5位、トリプルアクセルの着氷に成功した浅田真央(25歳、中京大)は、場内を感動させる演技を見せ、今季ベストの計200.30点をマークしたが7位(SP9位)、本郷理華(19歳、邦和スポーツランド)は、計199.15点で8位(SP7位)だった。 なお優勝は、SPで3位につけていたエフゲーニャ・メドベデワ(16歳、ロシア)が7つの3回転ジャンプをミスなく成功させて逆転優勝。メドベデワが記録したフリーの150.10点は、2010年のソチ五輪でキム・ヨナが作った世界歴代最高得点の150.06を上回る得点だった。メドベデワは、シニアデビューのシーズンに、欧米選手権、グランプルファイナルに続いて世界選手権も優勝をかっさらって、その強さを印象付けた。 これが日本女子勢の現在地なのだろうか。 元全日本2位で国際大会でのメダル経験も持つ中庭健介氏は、こんな分析をしている。 「今大会は、上位の選手にジャンプのミスがありませんでした。メドベデワ選手は、ジャンプの空中姿勢で手を上げ、着氷からステップにつなぐなど、随所にできる限りの工夫をして加点をもらっています。またフリーの5コンポーネント(演技構成点)では、72.34点、2位のアシュリー・ワグナー選手は、73.78点と高得点をキープしました。 一方、宮原さんの演技は安定していますが、ジャッジは大会ごとに相対的に出来栄え点を評価する傾向がありますので、どうしてもメドベデワ選手らのジャンプと比較されると加点をもらいにくく、今季素晴らしい成長をみせた5コンポーネントの評価も、まだ十分ではありません。本郷さんも、ジャンプ前の構えの時間が長く、加点を稼ぐことに苦労をしています。5コンポーネントは、技術点と違って伸ばすことは容易ではありません。つまり世界のトップに位置するロシア勢とのこの部分での差は、顕著なのです。 ただ、浅田選手の5コンポーネントだけは、日本ではナンバーワンで世界と勝負できるレベルにあります。その表現力、ステップ、スピンなどスケーティング技術の健在ぶりを見せ付けた今大会のフリーでは、観客を魅了しました。トリプルアクセル、コンビネーションジャンプに回転不足の判定がされ、苦手の3回転ルッツが2回転となり、エッジにEマークまでがついてしまいましたが、これらのミスがなければプラス10点は見込まれ140点台後半は、出ていたでしょう。おそらく左膝の故障などが響いた、と推測しますが、浅田選手がベストの状態をキープしてジャンプにミスがなければ、例え世界のトップクラスがミスを冒さないとしても、十分に勝負になると私は見ています」