明治神宮外苑の再開発ついて9月9日に事業者が計画見直しを発表したことを受け、ユネスコの諮問機関＝イコモスが会見を開き「重要な項目が欠落している」として、再度、提出された計画案を批判しました。 9日に事業者が東京都に提出した見直し計画では、3メートル以上の木の伐採本数を当初の計画から100本以上減らす考えを提示しました。さらに、名所のイチョウ並木保全のため、新しくできる野球場の計画を変更することなどが盛り込まれていました。 これを受け、再開発計画の撤回を求める緊急要請などを繰り返し東京都や事業者に提出していた日本イコモスが24日、会見を開きました。会見の中で日本イコモスの岡田保良委員長は「いかに不十分で不適切なものであるかという点を改めて指摘し、事業者ないしは東京都に問いたい」と述べました。そして見直し計画について「木々を本数で考えていて、生態系などを維持する『緑の質』の検討が欠落している」と強く批判しました。また、再開発が行われる現地に事業者、東京都、日本イコモスが集まり、それぞれの立場で提案を行う説明会の開催を求めました。 ＜計画の見直し事業者とイコモスの認識に差＞ 改めて開かれた日本イコモスの会見によって、事業者側との認識の差が浮き彫りとなりました。 まず、東京都からの要請を受けて今回、事業者が提出した計画の見直しについて見てみます。9月9日に発表した計画では「3メートル以上の木の伐採本数を124本減らし」「新たに植える樹木」を含めると、現在と比べて全体で400本増加する計画です。事業者としては、今回伐採する本数を減らしたり植樹する本数を増やすことなどで、木々の保全に努めようとしていることが分かります。 一方で、これに対する日本イコモスの“木々の保全に対する認識”を見てみます。大前提として「木々は群れで生息するため、木は本数ではない」と、強く計画を批判しました。その上で「木が持つ歴史や生態系の維持を配慮することが必要」だとしています。 外苑の再開発を巡ってはこれまでにも木の伐採などについて、事業者と日本イコモスの主張・認識が平行線をたどっている状況で、今後、認可を出した東京都がどのような対応をするのか注目されます。