【エリザベス女王杯】雨中を切り裂いたレインボーダリアの追い込み劇 柴田善臣〝ガッツポーズの理由〟
[GⅠエリザベス女王杯=2024年11月10日(日曜)3歳上牝、京都競馬場・芝外2200メートル] 今週末、京都競馬場でGⅠエリザベス女王杯が行われる。2012年、この3歳以上牝馬のナンバーワン決定戦を勝利したのがレインボーダリア。騎乗したのは柴田善臣騎手だった。 同騎手がレインボーダリアと初めてタッグを組んだのは直前のGⅡ府中牝馬S。後方からよく追い上げたが4着までで、差し切ることはできなかった。それでも、鞍上は手応えを感じていた。 「この馬自身32秒台の脚で上がっていました。ただ、ペースが遅過ぎて追い込み切れなかっただけ。内容的には決して悪くないと感じました」 そこで本番のエリザベス女王杯に向けては1週前、当週と積極的に追い切りに騎乗した。すると……。 「明らかに前走時よりも良くなっていると感じました。距離が延びるのも好材料だし、人気はなさそうだけどかなりやれそうだと思いました」 当日は「天も味方してくれた」(柴田善騎手)。天候は雨。馬場発表は重だった。 「午後からかなり降ったけど、午前中は良馬場でした。この馬には向いた馬場状態になったと思いました」 この読みはズバリ当たった。雨に渋った馬場の上、水しぶきを上げながら追い上げたレインボーダリアは大外から先行勢を丸のみ。見事にGI制覇を成し遂げたのだ。 ゴール後、数完歩してからベテランにしては珍しくガッツポーズをした柴田善騎手に、当時その理由を聞くと、ほほ笑ましい答えが返ってきた。 「『勝ったらガッツポーズしてね!』って子供たちに言われていたんです」 当日3人のお子さんたちは雨でずぶ濡れになりながら観戦していたそうだが、約束を果たした父のガッツポーズを見て、きっと晴れやかな気持ちになったことだろう。 来年にはあれから干支がひと回りするが、ベテランは現在も健在で現役を続けている。頭が下がるとともに、まだまだ元気に乗り続けてくれることを願いたい。(平松さとし)
東スポ競馬編集部