靖国神社“落書き男”が出国 軽犯罪なら逃げ得? 警備への批判の声も…元埼玉県警・佐々木成三氏「公安部が動いている事にビックリした。警視庁も本気だ」
一方、現実問題として「外国人の捜査はかなり難しい」と佐々木氏。「立件するには、身元を特定して、逮捕状を請求する。指名手配すれば、出入国手配もでき、その人物が入国すればすぐ情報が入ってくる。ただ、国際手配書を器物損壊罪で請求できるのかは疑問。犯罪人引渡し条約は、アメリカと韓国としか結んでいない。過去の殺人事件で、中国に逃亡した中国人被疑者を中国の法律で裁いてもらった“代理処罰”の判例はある。ただ、これも軽犯罪で動くかだ」とした。 外国人の軽犯罪は、実質“逃げ得”となってしまうのか。深澤弁護士によると、強盗・窃盗などわざわざ外国に来て利益を得ようとする犯罪であれば、盗品の換金や通関の突破で発覚することもあるという。一方、今回のような損得でしたものではなく、比較的軽い「おさわがせ」的な犯罪の場合は、明確な証拠が出てこないため、現行犯であればともかく追跡が難しいのが現状だとした。
■靖国の警備ゆるい? 岩田温氏「一宗教法人にどこまで警察が動けるか」
SNS上では、「靖国の警備がゆるすぎる」といった批判の声が相次いでいる。Xでは「監視カメラとか警備員って置いてないの?」「警備が甘いからこうなったのでは?」「警備強化できないの?」「24時間体制で警備すべき」「夜は誰も入れないようにしてもいいんじゃない?」とのポストが見られる。 NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は、「靖国神社の一番目立つ柱に、こうも簡単に落書きできてしまう環境に目を向けるべきだ」と指摘する。「千鳥ヶ淵の戦没者墓園もほとんど警備がいない。アメリカのアーリントン国立墓地と比較するのは難しいが、まったく警備の状況が違う。『このままでいいか』の議論はしてもいいのではないか」。 一方で、政治学者の岩田温氏は「靖国神社は戦後、一宗教法人になった。国が靖国神社に対して重点的に何かをやれば、『なぜ1つの宗教だけを守るのか』という議論が成立する。うまいところを狙ってきているやり方だと感じる」と語る。