映画『違国日記』は新垣結衣の新境地? 今後は“かっこいいガッキー”の時代が来るか
10年の時を経てクールな女性が似合う俳優に
もちろん新垣の出演作は数多く、かわいいイメージの役だけを演じてきたわけではない。たとえば2015年の映画『くちびるに歌を』では、産休に入る教師に代わって合唱部の指導を受け持つことになった臨時教師・柏木ユリ役を担当。これはぶっきらぼうな口調で生徒たちと対峙しつつ、端々で闇を背負っていることを匂わせるキャラクターだった。 また2014年から放送されたドラマ『S -最後の警官-』(TBS系)と、続編にあたる映画『S -最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』では、特殊部隊「NPS」にやってきた体育会系の女性スナイパー・林イルマ役を演じていた。 とはいえそれぞれの作品が公開された約10年前と比べると、今では新垣の演技力が格段に上がっており、背伸びせずに“かっこいい大人”を演じられるようになっている印象。『違国日記』の槙生役は、貫禄すら感じさせるところがある。 演技の幅ということでいえば、2023年11月公開の『正欲』もまた別方向で新境地だった。そこで新垣が演じた桐生夏月は、致命的な生きづらさに悩み、社会への怒りや絶望を胸の奥に秘めている人物であり、これまでのように観客の共感を広く誘うような役柄ではなかった。ちなみに新垣は同作で披露した見事な演技によって、初となる「第33回日本映画批評家大賞」の助演女優賞に輝いている。 ほかにも2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、初めての本格的な時代劇に挑戦するなど、近年ますます俳優としてのキャリアが広がっている新垣。今後はさらに違った役柄を演じる機会が増えていくかもしれないので、しっかり見守っていこう。
キットゥン希美