ドラマ「新宿野戦病院」がクドカンの原点回帰を予感するワケ・・・「不適切」と「虎に翼」の風穴のさらなる拡大へ
また、そんな病院に絡むキャストもいい。濱田岳は、周囲から完全に舐められている歌舞伎町交番のお巡りさんで、橋本愛は「貧しい命も富める命も皆平等」「人権は保障されるべきだ」という強い信念を持って行動するNPO法人「Not Alone」の新宿エリア代表――。 書き写していてクラクラしてくる。そのクラクラはもちろん、ワクワクとつながっている。 ■「池袋ウエストゲートパーク」への原点回帰? そして3つ目の注目点として、上記のような奇天烈なキャラがみんな、自然に馴染むであろう新宿歌舞伎町という舞台設定だ。公式サイトには、こう書かれている。
――新宿・歌舞伎町にたたずむ病院を舞台に、ホストやキャバ嬢、ホームレス、トー横キッズ、外国人難民などさまざまなバックボーンを持つ“ワケあり”な登場人物たちが交錯する社会の構図をテーマとし、官九郎節ともいえるときにユーモアを織り交ぜながら、さまざまな悩みや問題を抱えながらも人生を強く生きる人たち・仲間・家族を通して、「命」の尊さを投げかける新たな救急医療エンターテインメントをお届けします。 宮藤官九郎作品のほとんどを見てきたが、印象の鮮烈さでいえば、彼の連続ドラマデビュー作『池袋ウエストゲートパーク』(2000年、以下『IWGP』)が最高水準だろう。
池袋における不良集団の抗争という設定の上で、有象無象の奇天烈キャラがワチャワチャし続けるストーリーを眺めながら、当時私は「21世紀のドラマが始まった」と確信したものだった。 今回の『新宿野戦病院』は、先の説明文や、そもそもタイトルの近似性からして、『IWGP』への原点回帰になるのではないか。「21世紀のドラマがまた進化した」と思わせてほしいものである。 ■ドラマ界に「風穴が開いた」 さて、宮藤官九郎の前作『不適切にもほどがある!』と『虎に翼』に共通するのは「攻めてるなぁ」という感覚だ。