「時代が進んでも、活版印刷が 愛される理由がわかった気がする」 【影山優佳と日本の魅力を巡る旅へ】
歴史や文化、そこで生活してきた人たちの息づかいが感じられる場所、その土地の風土が感じられる場所。魅力のある場所には、人を惹きつける“重力(GRAVITY)”があります。 【画像】お目当ての文字を見つけ、「あった!」と思わず声を上げる影山さん。アザーカットをすべて見る。 俳優の影山優佳さんが、そんな日本全国の思わず引き寄せられるスポットへ足を運び、その驚きや感動をレポートする新連載「NIPPON GRAVITY」。 1回目の行先は東京都新宿区榎町。金属を鋳造して活字を作り、その活字を組んだ“活版”を用いて印刷する「活版印刷」の手法を今でも守る「佐々木活字店」を訪ねました。
まずは、活字組版を作るために文字を選ぶ「文選」から
活版印刷について学んだ後は、いよいよ名刺づくり。まずは、活字組版を作るために「影山優佳」の名前の文字一つひとつを膨大な活字を収めた棚から“拾って”いく「文選」をします。 「1階は金属活字の倉庫になっています。フォントのサイズ、そして部首や画数ごとに整理されていて、この中から印刷に使う活字を文字通り1個1個探して集めていって組版を作ります。正式には『文選』という名称ですが、僕らは文字を拾うといいますね」(佐々木さん) 「この1階の棚のすべてに活字がギッシリ詰まっているんですね。確かに、教えてもらいながらじゃないと、影山優佳の4文字ですら今日中に見つけられないのではないかと不安になります(笑)。文字を拾う文選を専門にされる文選工と呼ばれる職人さんがいらっしゃったのもうなずけます」(影山さん)
確かな存在感、味わいを感じる活版印刷
文字を拾い終えたら、名刺サイズに設定した型枠に文字を配置します。ただ文字を置けばいいというわけではなく、字間のスペースやバランスなどを考えてきれいに配置する必要があります。 「文字サイズや書体が異なったり、漢字とアルファベットが混在したりすると、余白や字間が微妙に異なってきます。それを上手に調整するのも僕たちの腕の見せどころです」(佐々木さん) 「ものすごく繊細な作業なんですね。ミリ単位でさまざまな形の金属板を埋め込んで、微調整を繰り返していく。今私たちはプリンターで意識せずやっていますが、印刷物ってこんなに緻密な作業が積み重なって出来ているんですね。まさに“職人”ですね」(影山さん) 「なんだか、確かな存在感があるというか、味わいを感じますね。インクの濃淡のニュアンスもそうですし、活字の凹凸があるおかげで1枚1枚しっかりと作られたものという感じがします。『私の名刺』と思える愛おしさがありますね」(影山さん)