八木勇征、FANTASTICSでも活きている“感情を読む感覚” 本気で向き合ってくれた恩師は「父のような存在」
■グループ活動にも活きている学生時代からの感覚 ――八木さんの学生時代についてお伺いします。八木さんはどんな学生でしたか? この作品でもそうですけど、クラスの中にもグループが存在する。グループがあることが悪いとかではなく、同じ趣味がある友達や同じスポーツをしている友達で集まるのは必然だと思うんです。ただ、僕は決まったグループにいたわけではなくて、どのグループにも所属していたなと思います。 ――みんなと仲がいいタイプだったんですね。 グループの穴を探すのがうまかったんだと思います。足りない部分を補って、突出しないで馴染む感覚というか……でも、そういう風にフィットしていくのがおもしろくて、無意識にそういう自分でいたのかもしれないですね。 ――周りが見えているからこそできる動きですね。そういう意味でいうと、現在のグループ活動でも活きている部分があるんじゃないですか? まだまだ全然未熟だと思うんですけど、「今この人ってどういう気持ちなんだろうな」と人の感情を読むことは活きているかもしれません。これはメンバーに対しても、もちろんそうなのですが、僕の場合はお客さんにも。ライブのステージ上からは、観に来てくださっている方の表情が見えるんです。だから、「今どういう気持ちなんだろう?」とか、「すごくハッピーな曲をしてるのに、なんでこの子はすごい悲しそうな顔してるんだろう」とか表情を見ています。もしかしたら、ライブに来るまでに嫌なことがあったのかもしれないじゃないですか? だったら、すごいハッピーな曲をしているわけだから、もっともっと楽しませてあげようという、その場の感情の変化が僕らとの中にも起こる。やっぱりライブは生ものなので、僕もお客さんから受けたもので、さらに変わっていくので、おもしろいなと思います。
■八木勇征にとっての恩師とは「友達でもあり、お父さんみたいな存在」 ――そうやってライブを通して繋がっているのは、ファンの方にとってはとても嬉しいですね。学生時代の話に戻りますが、学生時代に後悔していることがあればお聞かせください。 正直あまり後悔をしたことがなくて。何かしていなかったとしても、必要だと感じた時に動けばいいと思っています。「あのときやっておけばよかった」は1つの逃げ道だと思うし、「今行動したらいいじゃん」思うんです。だから後悔はないです! もったいないとか思いたくないんです。 ――その考え方が今の八木さんを作っているんですね。ご自身にとっての恩師という方はいらっしゃいますか? これまで出会ったどの先生も素敵な方々ですが、なかでも小学校高学年の先生は、まだ小学生だった僕たちにも生徒としてではなく一人の人間として接してくれました。だからこそ本気で怒ってくれるし、本気で向き合ってくれるし、本気で笑ってくれました。友達でもあり、お父さんみたいな存在、かつ先生として教えを説いてくれる大切な存在だったなと思います。 この年齢になって、いま先生役を演じてみて生徒一人ひとりをこういう風に見ていたんだって思うと、あの時の先生ってすごかったんだなと思いました。作中でも「本気で本音と向き合って本質を見つめろ」というセリフがあるのですが、それを体現していた先生だったと思います。 ――その先生から言われた言葉や、覚えているエピソードはありますか? 「人の失敗を絶対に笑うな」という言葉を覚えています。一人のときは決して思わないはずなのに、空気の流れやシチュエーションで笑っていると、先生が血相を変えてすごく怒っていたんです。帰り道に一人で考えていると、「なんで笑ったんだろう」と思い、怒られてその場で言った「すみませんでした」よりも、その次の日に言った「昨日ごめんね」のほうが、しっかりと反省できていました。そういう風に怒ってくれる先生がいたというのは、とても幸せなことだったなと思います。