寿命の限界は120歳⁉...老化の研究から判明した「不老不死」実現の「残酷すぎる」真実
「不老不死」はなぜ実現不可能なのか
山中 ええ。100歳で残り一個だから、120歳になったら間違いなくゼロになってしまいます。仮に全身にがんができず、事故にも遭わず、タバコも吸わず、体に悪い物を食べず……といくら気をつけても、おそらく120歳ぐらいが寿命の限界ということです。 ただ、血液の幹細胞の場合は、外から幹細胞を移植することができます。それをすると、120歳は乗り越えられるかもしれません。けれども脳はそういうわけにはいきません。脳は先ほどもお話しした通り、移植してしまうと、もはや本人かどうかわからなくなってしまいますから。 谷川 幹細胞の限界が寿命の限界になるわけですね。 山中 たとえば奄美大島とか徳之島とか地域によっては、80代で亡くなると「ずいぶん若くして亡くなりましたね」という地域もありますね。 谷川 長寿の方が多いですね。 山中 でも、そういう島でさえ、やっぱり130歳、140歳の方はいないので、寿命の限界は120歳辺りではないでしょうか。 谷川 120歳というと、いまの私たちのほぼ倍ですね。私たちはまだ折り返し点にいるということになります。でもこれが不老不死となると、必ずしも幸せだとは言えない、逆にすごく不幸かもしれませんね。 山中 不老不死は不幸だと思います。死ねないんですよ。それに不老不死はタイムマシンと同じような議論で、基本的には無理と考えるのが順当だと思いますね。 『90代でマラソンやゴルフ⁉...「がん治療も大幅に進む」到来する「人生100年時代」に待ち受ける「衝撃すぎる」未来』へ続く
山中 伸弥(京都大学iPS細胞研究所所長)/谷川 浩司(棋士)
【関連記事】
- 【つづきを読む】90代でマラソンやゴルフ⁉...「がん治療も大幅に進む」到来する「人生100年時代」に待ち受ける「衝撃すぎる」未来
- 【前回の記事を読む】「60歳の細胞をゼロ歳に戻す」...「山中因子」を使った「若返り」研究の最先端に迫る!
- 【はじめから読む】「老後」は存在しない…「不老不死」よりも「健康寿命」を延ばすことが重要!iPS細胞の可能性を還暦越えの科学者が語る!
- 「“君”はどう生きるか」...なぜ作家・鴻上尚史は“君たち”ではなく、“君”と呼びかけたのか。多様性の時代に問われる“個”の生き方とは
- JR東日本にも運輸省にもナイショで…品川に「新幹線駅」を作りたかった葛西敬之のハチャメチャすぎる「行動」