【後編】北米ホンダの旗艦SUV「パイロット」とは? 筆者がアメリカ1300kmを走って解説!これは日本にも欲しい!
アウトドア・アクティビティの相棒に相応しいクルマ
広大な自然を誇るアメリカは、もともとアウトドアのアクティビティが盛ん。普段は都市で生活しつつ、週末はクルマで郊外に出かけ、ハイキングやトレッキングを楽しむといったライフスタイルを送る人も多い。この「都会と自然をシームレスに繋ぐ」という価値は、われわれ日本人がイメージする以上にニーズが高いようだ。 それもあってか、トレイルスポーツにはクラス3(1~5まで分類され数字が大きいほど牽引能力も高い)のトレーラーヒッチが標準装備されている。トーイングキャパシティ(牽引可能な上限重量)は5000ポンド(約2.27t)で、トレーラーを引くのはもちろん、バイクや自転車を運ぶためのキャリアを接続することも可能だ。 ラゲッジルームはキャンプ道具を妥協なく積み込めそうなほど広大。3列目シート使用時こそ奥行きは約460mmと限られるが、3列目シート格納時は1230mmに拡大。さらに2列目シートには前後スライド機構が備わるので、前にスライドさせると約1390mmまで延長できる。さらに2列目シートも前倒しした場合の最大奥行きは約2170mmだ。 ホイールハウス間の最小幅は約1130mm、フロア手前側の最大幅は1450mmと、かなり余裕がある。高さは約795mmだが、フロアのデッキボードを一段低い位置にセットすると、床が低くなる分、高さも約975mmに拡大する。
運転支援システムは「Honda SENSING」を採用
また、先進の予防安全機能も充実しており、日本のホンダ車でもお馴染みの運転支援システムHonda SENSINGが採用されている。ハイウェイでアダプティブ・クルーズ・コントロールを使用すると、車線を認識するフロントカメラの精度の高さを実感できた。アメリカのハイウェイは車線がはっきりしないケースが多い上に、平均速度も高い。 そのため日本の高速道路を走る時以上に神経を集中させる必要があるのだが、その点、パイロットのアダプティブ・クルーズ・コントロールは車線の検知機能が正確。左右の車線から別のクルマが割り込んでくるケースでも、的確な減速制御で怖さを感じずに済んだ。 そして燃費はカタログ値が、市街地18mpg(約7.65km/L)、高速23mpg(約9.77km/L)、混合20mpg(約8.50km/L)。それに対して実際に850マイル(約1368km)以上走った結果の平均燃費計の値は19.1mpg(約8.12km/L)を表示。実燃費がカタログ燃費に近いところに信頼感を覚えるが、ハイウェイ主体でアダプティブ・クルーズ・コントロールも多用しての走行だっただけに、決して「燃費良好」とは言い難い。 意外と細かい装備も充実しており、スマホのワイヤレス充電、リヤ用のエアコン送風口と操作パネル、USBとAC115V 150Wの電源、スマホが入るシートバックポケット、日除けになるリヤロールサンシェードなどを装備。 3列目シート用にもドリンクホルダーとエアコン送風口、USB電源が設けられている。 トレイルスポーツは電動ムーンルーフやパワーテールゲートも標準装備。 乗用車ベースのSUVでありながら、オフでの使い勝手にも優れるトレイルスポーツをメインフィーチャーしているところが、アメリカにおける「旬」も物語るパイロット。もし空前のキャンプブームに沸く日本でも展開されれば、魅力的な選択肢になり得るはずだ。
小林秀雄
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