新NISAで何をどう買う? プロに聞く、タイプ別活用アドバイス。
何を買うかより、どう買うかが大切
ひと口に投資といっても、さまざまな金融商品があり、買い方にもバリエーションがある。だが、ここでいう投資の方法はたった一つ。投資信託を、積み立てで、毎月一定額買い続けることだ。 「どんな商品を買うかということの前に、もっと大切なことがあります。それは、どんなふうにお金を入れていくかです」 ●値下がりしたら多く買える! 積み立て投資のイメージ。
上の図で説明していこう。毎月、1000円という一定額で、リンゴ(=投資信託)を買い続けた場合、リンゴの価格によって買える数(=口数)も変わる。3カ月後、400円の利益が出た。 「400円プラスになったのはどうしてかな?と振り返ると、2カ月目に安くなったことでたくさん買えて、3カ月目にまた値上がりしたからですよね。安いときにたくさん買えることが、積み立て定額投資の最大のポイントです」 リンゴを投資信託に戻して表現を変えるなら、2カ月目に暴落したことになる。◯◯ショックのような大きなできごとが起きたのかもしれない。すると多くの人は、慌てて損切りしようと売却してしまったりするのだという。 「不思議なことに、私たち人間はリンゴを買うときと投資信託を買うときとで、まったく異なるリアクションをしがちです。リンゴが半額になっていたらうれしいのに、投資信託が暴落したらパニックになり、もうだめだ、もう嫌だ、と思ってしまうのです」 ここで踏みとどまれるかどうかが、お金をコツコツ育てていける人とそうでない人との分かれ道。 「株式などのマーケットは欲望と恐怖心の塊ですから、いい時期もあれば悪い時期もあります。2024年からの数年間が、市場としては悪い時期になったとしても、それが投資の失敗になるとはかぎりません。図のように、リンゴが600円にならなくても利益は出るからです。時間をかけて毎月積み立てていく買い方がいかに大切か、わかりますよね」
話題の新NISAを無理なく使おう!
これから投資を始める人も、経験がある人も、今年スタートした新NISAを活用しない手はない。期間は無期限、最大1800万円まで投資でき、その運用益が非課税になる。 「これをきっかけに投資に興味を持った人もいるのはないでしょうか。利益が非課税になるのは、たしかに大きなメリットです。ただ、説明してきたようにリンゴの木を植えて実がなるまでには時間がかかります。7~8年くらいは別に何もいいことがありません。NISAを始めたらすぐに儲かるかのように錯覚しないでくださいね」 新NISAは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠に分かれていて、それぞれに投資できる上限額が設定されている。よく、この2枠は「併用可」と表記されているのだが、これには注意が必要だという。 「まるで、2つの異なる枠組みがあって、それぞれの枠で別の投資をしなければいけないような印象を持ちますよね。でも、そうではないんです。積み立てる投資だけで年間360万円、計1800万円を埋めることができます(下表参照)」 ●おさらいしよう! 新NISAでできること。 ・投資で得た利益が非課税になる。 ・1800万円(年360万円まで)投資できる。 ・期間は無期限なので何十年でも運用できる。 ・いつでも売却できる。 ・売却した分の枠が復活してまた使える。(ただし元本相当額のみ) ●新NISAの2つの枠に惑わされない。