「イタリア最古のバイクメーカー」モト・グッツィ発「最新ツーリングモデル」の実力とは? 進化した“伝統のVツインエンジン”も見逃せない
出力やトルクが格段にアップした新エンジン
1921年に誕生したイタリア最古のモーターサイクルブランドであるモト・グッツィから、象徴的なスタイルを復活させながら、時代を超越した人気モデル「V85TT」の魅力はそのままに、新たなテクノロジーの採用や、快適性やウインドプロテクション性能を向上させたニューモデル「V85TTトラベル」が登場しました。2024年9月より順次デリバリー予定です。 【画像】「えっ!…」これがツーリングに最適なモト・グッツィの新作「V85TTトラベル」です(26枚)
モト・グッツィは2019年に、かつて多くのライダーがバイクによる冒険を楽しんでいた時代を想起させるスタイリングと現代のトラベルエンデューロの価値観と機能性を両立した新セグメントを創造。その原動力となった「V85TT」は、どこか懐かしさを覚えるデザインと最新のテクノロジーを巧みに組み合わせたモデルとして高い評価を獲得しました。 新型「V85TTトラベル」は、そんな「V85TT」をベースとする新モデルです。最新の排ガス規制であるユーロ5+に対応した850ccのVツインエンジンには、新たに可変バルブタイミング機構を搭載。パフォーマンスと快適性の向上を実現しています。さらに装備の充実が図られており、ツーリングバイクとしての基本性能をブラッシュアップしています。 スタイリングは、象徴的ですぐにそれと分かる「V85TT」のそれを、よりモダンな解釈で進化。タンク、サイドパネル、フロントマッドガードのライン、そして彫刻のような90度縦置きVツインエンジンによって確立される基本的なデザインなど、多数のディテールがブラッシュアップされています。 フロント部は、デイタイムランニングライトを備えたイーグル型のシルエットを描く丸いダブルLEDヘッドライトを継承していますが、ヘッドランプユニットとインストルメントパネルを固定するブラケットをスチールパイプによるトレリス形状からアルミダイキャスト成形の洗練されたものに変更し、よりスポーティでダイナミックな存在感を演出。リアのグラブハンドルもアルミ製となり、エルゴノミクスの向上によってパッセンジャーの快適性を高めています。 燃料タンクは、「V85TT」の彫刻的な形状を基本としながら、さらにワイルドでダイナミックな印象を与え、シリンダーヘッド真上の“くぼみ”がVツインエンジンとの自然なつながりに感じられる形状へと変更。エンジンのアップグレードを象徴するとともに、そのシリンダーヘッドカバーにも新たなデザインを採用しています。 最新の排ガス規制であるユーロ5+に準拠した新型「V85TTトラベル」の853ccエンジンは、エンジン回転数に応じてバルブリフト量の作動法則を最適化する可変バルブタイミング技術を採用導入。出力がさらに向上したのに加え、低回転域でのスロットルレスポンスやトルクも向上しています。 なかでも、3000回転という低回転域から太いトルクを発生。3500回転までに最大トルクの90%を発生し、5100回転で最大トルクである83Nmを発生します。これにより、ライディングフィールはさらに楽しいものとなり、低回転域から高回転域まで良好なスロットルレスポンスを実現します。 最高出力は80hp/7750回転と、従来のエンジンより飛躍的に向上。ノックセンサーの追加で点火時期のより正確な調整を可能とし、パフォーマンスや快適性、信頼性の向上などなどを実現しています。 ●優れたウィンドプロテクション性能を発揮 モト・グッツィは昨今、ライダーのヘルメットにかかる風圧を軽減すべく空力性能の向上に取り組んでいますが、新型「V85TTトラベル」にも工夫の跡が見られます。 広範囲にわたるCFD(数値流体力学)シミュレーションや長時間の風洞実験など、細心の注意を払った開発によって形状がアップデートされた新型「V85TTトラベル」のウインドスクリーンは、手動で高さを5段階に調整でき、あらゆる状況における効果が大幅に改善されています。これにより、ライダーのヘルメットにかかる風圧は、「V85TT」の標準バージョンと比較して50%も減少。快適性の向上に貢献しています。 ライダーにやさしい設計は、新しい5インチTFTメーターパネルにも採用されています。より大きく見やすくなり、あらゆる情報をより確実に把握できます。また、ハンドルバースイッチも新しくなり、クルーズコントロールを含むすべての機能に、より簡単かつ直感的にアクセスできるようになっています。 高張力スチールパイプで構成され、独自のエンジンマウントを利用して強度を追求した「V85TT」のフレームは、オンロードでの優れた正確性と安定性、さらにオフロード走行時の耐久性と安心感を提供していました。新型「V85TTトラベル」では、快適性と安全性をさらに高めるべく、定評ある合理的かつ効率的なシャシーレイアウトがアップデートされています。 サスペンションは、前後とも170mmという十分なトラベル量を確保。210 mmというゆとりの最低地上高も相まって、優れたオフロード性能を実現します。また、リアショックアブソーバーには、ダイヤル式のスプリングプリロード調整機能を追加。これにより、タンデム走行時や荷物を運ぶ際などに、すばやいセットアップを可能にしています。 加えて、“6軸慣性プラットフォーム”など、充実した電子制御も見逃せません。加速度計とジャイロスコープを備えたこの高度なシステムは、路面に対するバイクの姿勢を検出し、走行データをECUへと送信。これにより、電子制御の管理がさらに緻密になり、コーナリングABSやコーナリングトラクションコントロールといった機能がより有効に働くようになっています。 ABSやトラクションコントロールなどすべての電子制御は、ライディングモードを通じて簡単に作動量の調整が可能。「ロード」、「スポーツ」、「レイン」という各ライディングモードに加え、オフロード走行に特化した「オフロード」モード、各電子制御のレベルをカスタマイズできる「カスタム」モードも設定しています。 ブレーキシステムは、フロントにφ320mmのダブルディスクとブレンボ製ノ対向4ピストン・モノブロックキャリパーを採用。リアには、φ260 mmのシングルディスクに2ピストン・フローティングキャリパーを組み合わせています。 ●ロングツーリングに対応した装備が充実 新型「V85TTトラベル」は、先述した優れたウインドプロテクション性能を誇るツーリングスクリーンなど、ロングツーリングに適した装備も充実しています。 23リットルの燃料タンクは十分な航続距離を実現。さらに、シャフトドライブ方式の採用によって優れたメンテナンス性を実現し、長距離走行を楽しむライダーの負担を軽減しています。 新デザインのアーバンサイドケースは、左側が27.5リットル、右側は37リットルという大容量で、フルフェイスヘルメットの収納も可能。もちろん、イグニッションキーを使用してロックもおこなえます。 さらに、ヒーテッドグリップや、左側のハンドルスイッチで温度調整可能なライダー側シートヒーター、スマートフォンに接続してメーターパネルの機能を拡張できるマルチメディアプラットフォーム“Moto Guzzi MIA”も標準装備。この“Moto Guzzi MIA”は、ハンドルバーのコントロールスイッチを使用して、音声アシスタント、通話、音楽再生を管理するインフォテイメント システムを利用できます。 また新型「V85TTトラベル」は、あらゆるライディングシーンで役立つ実用的なオプションアイテムも見どころです。 アルミニウムの装飾が美しいABS樹脂製アーバンサイドケースにマッチするトップボックスや、全く新しいデザインとなったアルミ製の3ボックスパニアケース、便利な横開き式に変更されたサイドケース、クイックリリース式のタンクバッグ、スポーティなスタイルの防水ソフトロールバッグなど、新しいオプションも登場しています。 * * * 快適性やウインドプロテクション性能がさらに向上し、長距離走行に最適な装備類も充実したモト・グッツィの新型「V85TTトラベル」は、ツーリングの醍醐味を満喫させてくれそうです。 ●製品仕様 ・価格(消費税込):189万7500円 ・車体色:デザート ブロンズ ・サイズ:全長2240×全幅950mm ・ホイールベース:1530mm ・シート高:830mm ・車両重量:243kg(走行可能状態、燃料90%・パニアケース搭載時) ・エンジン:空冷4ストロークV型2気筒OHV2バルブ ・総排気量:853cc ・最高出力:80hp(58.8kW)/7750rpm ・最大トルク:83Nm/5100rpm ・燃料タンク容量:23リットル
VAGUE編集部