新しい風物詩を(2月3日)
〽道の小草にも ヤレサー米がなるヨー。相馬地方を代表する民謡「相馬盆唄」は、ユーモラスな歌詞が印象的だ。南相馬市原町区では相馬野馬追の本祭り前夜、歌に合わせた踊りのパレードが目抜き通りを彩ってきた▼野馬追を盛り上げようと1967(昭和42)年に始まった。震災や新型コロナウイルスの影響を乗り越え、地元の夏の風物詩として定着した。しかし今年、野馬追の日程が前倒しされるのを受け幕を閉じた。新たに開催される5月末の季節感に合わせた催しが検討されている▼「相馬盆唄」は、1956(昭和31)年に人気歌手の三橋美智也さんのレコードが発売されて大ヒットし、流行歌のように広まった。パレードでは市内の企業や各種団体が踊り流す。かつては町内会ごとに行列が繰り出し、メイン会場の旭公園に集結した。中心市街地が一つとなる盛り上がりを見せていた▼最盛期よりは参加者が減り、「最近は寂しいね」との声が聞こえることも。日程変更に合わせて幕を下ろすのを、再出発の好機ととらえたい。新しい歴史を刻む祭典と共に、どんな一歩を踏み出すのか。〽遠ばやしで ヤレサー寝つかれぬヨー。ぜひ、にぎわう前夜祭に。<2024・2・3>