《リサ・ラーソンが遺した、世界にひとつだけの柴犬の置物のこと》「今度こそ、きっと傑作を!」初めて明かされる彼女の職人性
尽きない想像力と制作意欲で、亡くなる直前の92歳まで創作活動を続けた陶芸家リサ・ラーソン。短期集中連載の第3回は、リサが70歳を超えてから共にものづくりに励み、数々の人気シリーズを生み出した「トンカチ」の佐々木美香さんと勝木悠香理さんに話を伺った。 【画像】リサ(左)と夫のグンナルさん(右)。佐々木さんらが初めてリサに会いに行った日の写真。 ≫【連載をはじめから読む】すべては一通の手紙から始まった――北欧を代表する陶芸家リサ・ラーソンが日本で愛された17年 ≫【第2回】「生まれ変わったら日本人になりたい」。日本に心を寄せ続けたリサ・ラーソンが人生の最後に手がけた作品への想い
リサの柔軟な発想から生まれた日本オリジナル作品の数々
1954年に23歳でグスタフスベリ製陶工場に入社し、陶芸家としてのキャリアをスタートしたリサ・ラーソン。1980年に独立してからはフリーのデザイナーとして活躍し、2007年から日本オリジナル作品の制作に取り組み、亡くなる直前まで精力的に創作活動を続けた。 「リサと出会った当時、彼女は70歳を超えていて、陶芸家としてもすでに大きな成功を収めていました。そこに突然、日本から手紙が届いて不思議な交流が始まる訳ですが、リサは強い思いやりを持って私たちに接してくれました。私たちがやろうとしたことも柔軟に受け入れてくれて、その結果、“日本のリサ・ラーソン”が生まれました」と話すのは、トンカチのデザイナー・佐々木美香さん。 日本におけるリサの作品のデザインを一手に担っていた佐々木さんは、「リサの価値を下げないように」ということを強く意識しながらも、多くの人にリサの作品を知ってもらうような提案を続けた。 「その頃すでに、リサのビンテージ作品はどんどん価値が上がっていて、気軽に手が出せない値段でした。そこから、リサの名作をキーホルダーにする話が持ち上がり、“高校生の通学カバンにつけてもらえるようなキーホルダーをつくりたい”とリサに力説したんです。すると、リサは“持ち運べるリサ・ラーソンね”とおもしろがってくれました。