米テックのレイオフは“再構築”?日本のあり方は?「“おじさんのIT介護をしているのになぜ給料が低いのか”と思う若者も」 夏野剛氏「解雇規制があるから給料上がらない」
2022年から2023年にかけて話題となった、世界中に吹き荒れたGAFAを含むIT系巨大企業の大量解雇。実際、現場の社員たちはどのような状況だったのか。「3フロア丸ごと、チームごと解雇みたいな状況だった」。アメリカ・シリコンバレーのSplunkで10年超エンジニアをしていた酒井潤氏は去年4月、多くの同僚たちとともに、解雇当日の朝にビジネスチャットで通知されたという。 【映像】レイオフと退職勧奨の違い 一方、法で守られ、そう簡単に社員を解雇できない日本。人材が流動的なアメリカなどと比べ、公休だけ取って働かないおじさんなどデメリットを指摘する声もある。雇用と解雇はどうあるべきか。レイオフを経験した酒井氏を交え議論した。
■「アメリカ社会全体が順調になっていると感じる」
酒井氏は解雇時の流れについて、「対象の人はイントラにアクセスできなくなり、後々メールで退職金の案内が来る。勤務年数などによって、数百万円の人もいれば、数千万円の人もいる感じだ。私は特別なケースで、解雇通知があった後、個別に話があり“会社に半年いてくれたら2000万円のボーナスを出す”と。チームがなくなった後のシステム情報や引継ぎまわりでオファーをいただいた(※)」と説明。 ※オファーを断り1週間ちょっとで別会社へ 今年もテック企業が続々とレイオフしているが、これまでとの違いは業績が好調であること。理由としても「微調整」「再構築」「効率化」といったワードで語られている。 酒井氏は「会社の判断として、儲からないサービスを削減するというのは、アメリカ社会でもやむを得ない。急成長のためには必要だという認識だ」「コストカットをするか、企業のイメージをとるかという時、Xのイーロン・マスクさんが解雇したのは良いタイミングだと思う。大企業はスリム化したし、解雇された優秀な人がスタートアップに行くので、アメリカ社会全体が順調になっていると感じる」との見方を示す。
近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は「他の企業から見ればチャンスだ」と指摘。「優秀な人材が出てくるので、そこを取りに行く。囲い込んでいる日本の企業が優しいかというと、仕事がないので実は飼い殺しだ。特にエンジニアなんかは常に前線にいないとスキルが落ちていってしまう」とした。