SPAC秋→春のシーズン2024-2025開幕へ。宮城聰演出『イナバとナバホの白兎』はじめ注目の演出家による全3作品を上演
SPAC-静岡県舞台芸術センターによる「秋→春のシーズン」が、10月2日(水)に始まる中高生鑑賞事業公演をもって開幕、19日(土)より一般公演がスタートする。 【全ての写真】SPAC『イナバとナバホの白兎』過去公演より 毎年10月から3月にかけての「秋→春のシーズン」では、古今東西の名作戯曲などをSPAC芸術総監督・宮城聰と注目の演出家たちによる現代演出での連続上演を行っている。今シーズンは、宮城演出による『イナバとナバホの白兎』が開幕を飾り、別役実の歴史的傑作『象』、静岡ゆかりの偉人・山田長政の生き様を描く遠藤周作の『メナム河の日本人』の再演という3作品が並ぶ。 開幕作品となる『イナバとナバホの白兎』は、20世紀最大の思想家・文化人類学者のクロード・レヴィ=ストロースによる「アジアで生まれた神話の一体系が日本に伝わり、のちに北米にも伝わったのではないか」という仮説から、「その元になる神話」を宮城聰×SPACが演劇的想像力で読み解く壮大な祝祭音楽劇。フランスにおける非ヨーロッパ圏芸術の殿堂、フランス国立ケ・ブランリー美術館の開館の10周年記念作品としてSPACに委嘱、2016年、静岡市・駿府城公園で野外劇版のプレ上演を経て、同館クロード・レヴィ=ストロース劇場にて初演、2019年に同美術館で再演された話題作だ。SPACレギュラーシーズンには今回が初登場、静岡公演のほか、浜松、沼津での上演も予定されている。 2作目の『象』は、童話、エッセイ、評論など多彩な執筆活動で知られ、140作に及ぶ戯曲を発表し日本の不条理劇を確立したと称される劇作家・別役実の代表作のひとつ。別役実が鈴木忠志(初代SPAC芸術総監督)らとともに結成した新劇団「自由舞台」の旗揚げ公演のために1962年に書き下ろした歴史的傑作は、背中のケロイドをさらけ出し情熱に生きたいと願う「病人」と、このまま誰にも気づかれずに死にたいと願う「男」というふたりの被爆者の心情のすれ違いから、戦争の悲惨さを抉り出す。この傑作戯曲に気鋭の演出家・EMMAが新たな息吹を吹きかけ、今なお戦争に揺らぐ“せかい”へと贈る。鈴木忠志(富山県南砺市)、宮城聰(静岡県静岡市)、平田オリザ(兵庫県豊岡市)、中島諒人(鳥取県鳥取市)が2022年に設立した、次世代の日本の演劇人と共同で作品を創造する「桃太郎の会」の参加作品として、今年9月に富山県利賀芸術公園 創造交流館にて初演された。 3作目の『メナム河の日本人』は、2020年のコロナ禍での公演中断を経て、5年ぶりの再演の実現だ。17世紀初頭、己の才覚のみを頼りにアユタヤ王朝(タイ)にわたり、日本人傭兵部隊の隊長として重用されるまでに登り詰めた山田長政。作家・遠藤周作は、その波乱万丈の生涯を壮大な歴史活劇として鮮やかに描く一方、神父・ペトロ岐部との邂逅を創作し、自らの抱える「日本人」と「信仰」の問題を織り込みました。俳優としてテレビや映画でも活躍する今井朋彦の、人間模様とその心理を丁寧に読み解く演出が光る。 これら3作品に先立ち10月2日(水)からスタートするのが、静岡県内の中高生を対象とした平日実施の招待公演、中高生鑑賞事業「SPACeSHIP(スペースシップ)げきとも!」。中高生と引率者は鑑賞料金無料、バスのチャーター料金の補助など、劇団を有する公立劇場だからこそ可能なプログラムとして全国から注目されている。このほか、シーズン中は上演作品にまつわるプレトークや鑑賞講座、バックステージツアー、街歩きツアーなども予定されている。 <公演情報> ■『イナバとナバホの白兎』 [再演/2016年初演] 構成・演出:宮城聰 台本:久保田梓美 & 出演者一同による共同創作 音楽:棚川寛子 出演:SPAC 【静岡公演】 日程:10月19日(土) ・20日(日) ・27日(日) 、11月3日(日・祝) ・4日(月・休) ・9日(土) 各日14:00開演 会場:静岡芸術劇場 【浜松公演】 日程:2024年12月7日(土) 13:30開演 会場:浜松市福祉交流センター ホール 【沼津公演】 日程:2024年12月21日(土) 13:30開演 会場:沼津市民文化センター 大ホール 【関連企画】 静岡公演:プレトーク、鑑賞講座、バックステージツアー等あり 浜松公演:静岡県内の小中高生に鑑賞チケットプレゼント、12月7日(土) 終演後、ポルトガル語通訳付きバックステージツアー ■『象』 (新作) 演出:EMMA(旧・豊永純子) 作:別役実 出演:SPAC 日程:2024年12月7日(土) 18:30開演、8日(日) ・14日(土) ・15日(日) 各日14:00開演 会場:静岡芸術劇場 【関連企画】 スペシャルトーク 2024年12月8日(日) 終演後 登壇:EMMA(『象』演出)、瀬戸山美咲(『野火』演出)、堀川炎(『野火』演出)、福永武史(『象』演出) 司会:宮城聰 【平和学習プログラム】静岡の戦争の記憶を巡る街歩きツアー 2024年12月14日(土) 日本語ツアー、15日(日) 英語モニターツアー 各日 10:10~12:30 ■『メナム河の日本人』 (再演 / 2020年初演) 演出:今井朋彦 作:遠藤周作 出演:SPAC 日程:2025年1月18日(土) ・19日(日) 、2月15日(土) ・16日(日) 、 3月1日(土) ・2日(日) 各日14:00開演 会場:静岡芸術劇場