“俺ガンダム”を愛し、絶望したシリーズの大ファンが最新作『ガンダムブレイカー4』に期待するワケ
ロボットアニメの金字塔、『機動戦士ガンダム』。そして、ガンダムに登場するモビルスーツを自分の手で組み立てられるガンダムのプラモデルーー通称『ガンプラ』。 【画像】劇中の名シーンも再現可能に? 『ガンダムブレイカー4』のジオラマモード そんなガンプラをモチーフにした作品に「ガンダムブレイカー」というゲームがある。ガンプラのパーツを組み合わせてオリジナルの機体を作り、それを操作して戦えるという作品だ。 まさに全ガンプラファンの夢を具現化したようなタイトルで、初代『ガンダムブレイカー』以降から高い人気を誇ったシリーズ……だった。というのも、前作『Newガンダムブレイカー』が大失敗し、以来続編の発売が途絶えてしまっていた。 しかし、いよいよシリーズ最新作『ガンダムブレイカー4』が8月29日に発売されるとアナウンスがあった。シリーズファンは発売を心待ちにしているに違いない……。そしてかくいう筆者も、最新作を遊びたい気持ちが抑えきれず、こうして筆を取らせてもらった。 今回は、「ガンダムブレイカー」シリーズの歴史を振り返りつつ、新作『ガンダムブレイカー4』への期待をつづっていこうと思う。 ■文字通りロマンの塊 “俺ガンダム”を操って敵のガンプラを薙ぎ倒せ 冒頭でも述べたように、ガンダムブレイカーはアニメ『機動戦士ガンダム』のプラモデル、『ガンプラ』をモチーフとしたゲームだ。アニメ・漫画・小説に登場するモビルスーツたちを自分の手で組み上げたり、オリジナルの改造を施したりして楽しめる。 筆者は現実のガンプラも好きで、時折組み上げているのだが、プラモデルは意外にお金と時間がかかる趣味だ。作品を完成させたときの喜びはひとしおだが、忙しい人にはちょっとミスマッチかもしれない。筆者もせいぜい部分塗装で満足してしまうタイプだ。 その点、『ガンダムブレイカー』は手軽にガンプラの楽しさを味わうのにうってつけのゲームといえる。好きなパーツを選んでオリジナルのガンプラを組み上げ、自由に装飾できるのだ。塗装はもちろん、ウェザリング(汚し加工)、光沢の追加、ダメージ表現、追加パーツの装着などなど……。リアルでやると途方もない時間とお金がかかる改造が、お手軽にできる。 そして何よりの魅力は、改造したガンプラを戦わせられる点だろう。自分の作ったガンプラを操作して、ワラワラと出てくる敵のガンプラを薙ぎ倒していけるのだ。操作感は「機動戦士ガンダム VS.(バーサス)」シリーズに近く、爽快感もある。 オリジナルの“俺ガンダム”(ちなみに、これは公式名称だ)を作って、敵と戦う。ガンダム好き・ガンプラ好きであれば、一度は「このガンプラが動いたら……」なんて妄想をしたことがあるだろう。「ガンダムブレイカー」シリーズは、そんなロマンを詰め込んだゲームなのだ。 ■名作揃いの「ガンダムブレイカー」シリーズを振り返る さて、ここからはシリーズの歴代タイトルを振り返ってみよう。まずは初代『ガンダムブレイカー』だ。 選べる機体数は80機程度で、一部の機体は武器・パーツだけの参戦。今振り返ればすこし物足りなさも感じるが、当時にしてみれば楽しかった。出てくる敵ガンプラもしっかりとカスタマイズされているため、機体の少なさを感じさせない工夫が多いのもポイントだ。 たとえば、『ダブルオーガンダム』のパーツを塗り替えて『ガンダムデュナメス』っぽくなった機体が、遠距離から狙撃してくる。いないはずの『グフ』のようにサーベルを持った、青色の『ザク』が近づいてくるなど、カスタマイズの参考になる敵キャラも多かった。 続いて登場した2作目、『ガンダムブレイカー2』。前作にはなかったストーリーモードが追加されたのだが、このストーリーが非常に良い。哀しくも熱い展開でいっぱいの、いかにも“ガンダムらしい”ストーリーなのだ。 登場するオリジナルキャラたちはフルボイスでしゃべってくれるため、プレイしていると自然に愛着が湧いてくる。そして好きになってきたタイミングで、「あとは任せた」とばかりに退場していく……。ガンダムのゲームで泣いたのは、『ガンダムブレイカー2』が初めてかもしれない。 そして3作目、『ガンダムブレイカー3』では、カスタマイズ要素が大幅に強化されることに。ガンプラ本体に付属するパーツとは別に、「ビルダーズパーツ」と呼ばれる拡張パーツを付けられるようになったのだ。 ビルダーズパーツも1つひとつ色を塗り替えられるので、カスタマイズの幅が大幅に広がっている。オリジナルのガンプラが作りやすくなったのはもちろん、何かに似せたガンプラも作りやすい。 たとえば、「ガオガイガー(勇者王ガオガイガー)」「ガンバスター(トップをねらえ!)」といった別作品風のロボットを作ったり、アニメの名シーンを再現したりすることも可能だ。工夫次第で“なんでも作れる”と言えるほど自由度が高くなったため、何時間でもカスタマイズしていられる楽しさがあった。 ■『Newガンダムブレイカー』の悲しみと『ガンブレ4』への期待 そしてシリーズ4作目、『Newガンダムブレイカー』が発売。これまでのシリーズに追加要素を加えて、よりパワーアップした作品となる……はずだった。結論を先に述べると、『Newガンダムブレイカー』はおよそ成功とはいえない作品になってしまったのだ。 その要因は数えきれないが、しいて挙げるなら「カスタマイズ要素の否定」に集約されるだろう。 「ガンダムブレイカー」シリーズでは、バトル中に攻撃を受けると、自分のパーツが外れてしまうという仕様が存在するのだが、従来のシリーズではパーツを引き寄せるか、取りに行くかして回収することで、外れたパーツを取り戻せた。 しかし、『Newガンダムブレイカー』では、外れたパーツの代わりに、敵から手に入れたパーツをセットする仕様に変更された。一見、斬新なシステムに思えるが、こと「ガンダムブレイカー」とは相性が悪かった。なぜなら、自分が手塩に掛けて改造したガンプラが、だんだん別モノになってしまうためである。 せっかく改造したガンプラなのに、バトルが終わるころには寄せ集めパーツだらけ。これでは、カスタマイズする甲斐がないというものだ。このほかにも、従来のファンが納得しない要素が多数盛り込まれており、人気がなくなってしまったのである。 その結果、『Newガンダムブレイカー』の売値は、発売から1週間足らずで1,000円を下回るという投げ売り状態になってしまった。筆者の観測範囲の話ではあるが、おそらく多くのファンたちが売りに走ったのだろう。さらに、かの有名な『クソゲーオブザイヤー2018』にノミネートされるという、不名誉な称号も獲得してしまった。 余談だが、筆者はこのゲームをDL版で購入しており、売ろうにも売れないうえ、根を詰めてプレイする気も起きず、今も放置したままになってしまっている。 こうして、大人気だった「ガンダムブレイカー」シリーズの盛り上がりはあっという間に落ち着いてしまったのだ。 もう、ガンダムブレイカーは遊べないのだろうか。自分の手でガンプラを作って、動かせる感動は味わえないのだろうか……。諦めかけたその時だった。 『ガンダムブレイカー4』、発売決定。前作が発売された2018年から実に6年越しの新作発表に、ファンは驚愕し、同時に歓喜したことだろう。ナンバリングへの回帰にくわえて、発表済みの情報を見ていくと「これは期待していいのでは?」と思わされる内容だったのだ。 まず、『ガンダムブレイカー4』には、『機動戦士ガンダム』から『機動戦士ガンダム 水星の魔女』まで、250以上のガンプラが参戦する。いちガンダムファンとしては、機体数の多さだけでワクワクしてしまう。ただし、公式発表によれば最新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』については、今のところ参戦なしとのこと。DLCでの追加に期待したいところだ。 さらに『ガンダムブレイカー4』では、カスタマイズ要素も強化されているようだ。たとえば、これまでのシリーズでは不可能だった、両腕別々のカスタマイズが可能になった。両手で別々の武器を持たせることもできるため、左右非対称のガンプラを作りやすくなっている。 持つ武器の組み合わせによって、アクションが大幅に変化するのも大きな特徴だ。両手に持つ武器の組み合わせによって攻撃方法が細かく変わるため、自分だけのコンボを作って楽しむことができそうだ。ビジュアル重視で同じ武器の2刀流にしたり、あえて武器を減らしたり、今からどんな機体を作ろうか楽しみで仕方が無い。 そして、極めつけはジオラマを作れるモードの追加。従来は1機分の写真しか撮れなかったのだが、『ガンダムブレイカー4』では複数のガンプラを配置したジオラマを作れるモードが追加される。ジオラマ作りはガンプラの代表的な楽しみ方であるし、作ったジオラマをインターネットに公開して「いいね」を送り合ったりすることもできるという。 一度は終わってしまったシリーズが、再始動してくれた。好評だった『3』までのシステムに戻され、さらなる要素を引っ提げて、帰ってきてくれた。 だからこそ、『ガンダムブレイカー4』には特別な期待を抱かざるをえない。 言い過ぎだと突っ込まれてしまうかもしれない。しかし、それでも『ガンダムブレイカー4』の発売は奇跡だと、あえて声を大にして言いたい。叶うならば、『ガンダムブレイカー4』が従来のファンに、そして新しいファンにも受け入れられることを願うばかりだ。 ちなみに『ガンダムブレイカー4』は、クローズドβテストも実施していたのだが、残念ながら筆者は抽選に外れてしまった。8月29日の発売まで、家に積んであるガンプラを作りながら待ちたいと思う。もう一度、“俺ガンダム”を手にして、戦場に舞い戻るために……。
かめふみ