東方神起が語る20年の節目 デビュー当初は「アーティストの仕事ほとんどなかった」
困難を乗り越えて来年日本デビュー20周年を迎える東方神起。二人はこれからどこへ向かおうとしているのか。AERA 2024年11月4日号より。 【写真】蜷川実花が撮った!AERAの表紙を飾った東方神起はこちら * * * ――生存競争の激しい音楽界で20年もの間、第一線で活躍し続けるのは、簡単なことではない。 チャンミン:10周年まではいけても、20周年を迎えられるグループはなかなかないですよね。 ユンホ:日本でデビューした当時は、アーティストとしての仕事がほとんどなくて、ひたすら頑張るという気持ちで毎日を過ごしていました。そこからいろんな経験をしてここまで来た。人間にとって20歳が一つの節目であるように、東方神起も来年“成人する”という気分です。 ――20年もの間トップランナーとして走り続けられた理由はどこにあるのか。 ■理由は「心」と「夢」 ユンホ:ひとえにファンの皆さんの支えがあったおかげです。東方神起を動かしているのはファンの皆さんですから。 チャンミン:ちょっと照れくさいのですが、僕は「心」だと思います。僕たち二人の頑張りたいという心、スタッフたちの東方神起を支えようという心、ファンの皆さんの温かな応援の心。東方神起を思うすべての人の心が集まって、東方神起が20年もの長い間、存在し続けているのだと思います。 ユンホ:他には……「夢」でしょうか。僕たちにはいつも何か夢がありました。何かを続けていくには、「ここまで行ってみたい」という自分なりの夢やビジョンが必要だと思うんです。自分なりに夢を持って、その夢を実現するために必要なことを学び、タイミングがきたら、皆さんにお見せする。それによって、新たな夢が見つかる。その好循環が持続をもたらしているのではないか、と。
――2年前の本誌取材で、チャンミンが口にしていた「挑戦と維持」という言葉を思い出した。では二人は今、どんな夢に向き合っているのだろうか。 ユンホ:僕は今、映像制作の勉強をしています。今はアートや動画でメッセージを伝えやすい時代なので、自分が考えていることや思っていることを映像で伝えられるようになりたいと思ったんです。勉強をかねて、短編映画を観に行ったりもしています。短編映画とMVは、短い尺にメッセージを凝縮させるところが似ているんです。短編映画の上映場所をネットで検索し予約をして、一人で観に行っています。映画館だけの空気ってあるじゃないですか。全く馴染みのない場所で、自分だけの時間を過ごす。その時間が幸せです。この前は、お目当ての短編映画を観るために、済州島まで行ってきました。 ――一方のチャンミンも決して守りに入ってはいない。この春、ミュージカルに初挑戦したことをきっかけに、腹式呼吸を使った歌唱法を学び始めたという。 ■タイトルに込めた意味 チャンミン:腹式呼吸法は、僕がこれまでやってこなかったものでした。僕は喉を使う歌い方なので体の調子が大きく影響しますし、年をとるにつれて歌いづらくなるだろうと常々思っていたんです。いつまでステージに上がっていられるかは分かりませんが、呼んでくださる方がいる限り僕は歌い続けたい。そのために歌い方をイチから見直すことにしました。ユンホがいつも話している「初心にかえる」です。ミュージカルは終わりましたが、今も時間を作ってボーカルレッスンに通っています。 ――20年のキャリアがありながらもなお、謙虚に学び続ける二人の姿は尊い。 チャンミン:今回、歌唱法の他にも、学んだことがあります。それは、ある程度経験のある人間が、何か新しいものを習得しようとする時には、今まで積み重ねてきたものを一旦崩して、イチから立て直すくらいの気持ちでやらないといけないということ。これからももっともっと歌を極めたいです。 (構成/ライター・酒井美絵子) ※AERA 2024年11月4日号より抜粋
酒井美絵子