台風15号の被害から2年 大規模な断水の教訓から「災害時協力井戸」の登録者拡大への取り組み 静岡市清水区
台風15号の被害から2年が経ちました。長期間にわたる断水被害が出た静岡市では再度の断水に備える取り組みを進めています。 2022年9月に静岡県内を襲った台風15号では、家屋6軒が全壊、災害関連死を含め6人が亡くなる被害が出ました。 そしてその被害は台風が去った後も続きました。 山﨑琢也記者: 「静岡市清水区の承元寺取水口です。2年前の台風15号では、あちらの取水口に流木などが流れ込み、清水区内で大規模な断水が発生しました」 清水区の水道水のおよそ8割を占める興津川の水が、取り込めなくなったことで、清水区内で断水が発生。 影響は最大でおよそ2週間、6万3000世帯におよびました。 市民: 「もう水出かったですよ。洗濯は川の、川に洗濯に行って、お風呂は久能の湯まで毎日」 生活に必要不可欠な水が使えなくなる非常事態を防ごうと、市は取水口の対策工事を実施。
そしてこんな対策も・・・ 禅叢寺(ぜんそうじ) 寺庭 木下尚子さん 「この井戸が台風15号の時に断水した時に地域の方がくみに来た井戸です」 身近な水源である井戸を防災対策に役立てようと、静岡市が始めたのは、災害時に近隣住民に井戸水を提供する「災害時協力井戸」の登録制度です。 静岡市清水区の禅叢寺では、檀家がお墓参りの時に使っている井戸を協力井戸に登録しています。 きっかけは一昨年の断水で井戸水を地域の住民に提供した経験だったといいます。 禅叢寺 寺庭 木下尚子さん: 「断水になったときは、私は家の中で炊事をしていて気が付いたもんで、バケツでずらーっと(井戸水を)用意して、好きなようにくんでくださいってことでね」 断水が解消するまでの1週間ほどの間、毎日30~40人に井戸水を提供。 中には毎日のように水をくみに来る人もいたといいます。 禅叢寺 寺庭 木下尚子さん: 「水には困らさせられてるけど、その水と生きていかなきゃ いけないんだよね。私たちってことをここの場で改めて認識して。これから起こるだろう水害の時にも何かしらお役に立てたらなと思ってます」 南海トラフ巨大地震では、市内全域で1ヵ月ほどの断水が想定されていて対策は急務です。 一方で協力井戸の登録数は、先月末時点で81件にとどまっていて、市は登録すれば5万円を上限に水をくみ上げるためのポンプの購入費用の半額を助成するほか、登録者への奨励金を盛り込んだ補正予算を市議会9月定例会に提出するなど、登録数を増やす取り組みを進めています。