「むしろ自分が力をもらっている」病院訪問に車椅子観戦者招待…カープ磯村嘉孝が自らの手で社会貢献を続ける理由〈チケット発送から駐車場の手配まで〉
「当たりまえ」に「ありがとう」
人を思う気持ちは、体だけでなく心も動かす。病院で感じた温もりは手と手が触れたものだけではない。 「いつまでユニフォームを着られるか分からないですけど、こういうことができるからこそ1年でも長く着ていたいと思っている。ユニフォームを脱いでも誰かが継続してくれたらうれしいし、志のある人が増えてくれたらなおうれしい。そういう輪を広げていきたい。プロ野球のユニフォームを着ているだけですごい影響力がある。僕も『そんな大したことないですよ』と思っていたけど、一歩を踏み出す勇気を持ってもいい」 24年1月には元サッカー日本代表の橋本英郎らと一般社団法人「ASUWA」を立ち上げた。12月25日には石川県輪島市の被災地に向かい、施設で暮らす子どもたちを集めて運動会を開催する予定だという。 「健常者でもひとりで生きて行けないように、弟たちはちょっとサポートしてもらうことがあるだけなんです。自分が活動することで、広島の人々にも手助けが必要な人がいるということを意識してもらい、助け合いの精神がある町であってほしい。困っている人がいると、すっと手助けができる。そういうことが当たりまえにできると、いい町になると思うんです」 「当たりまえ」の対義語は「ありがとう」だという。磯村は笑顔の連鎖を願いながら、より多くの人が当たりまえのことに感謝する気づきとなるよう、これからも活動を続けていく。
(「炎の一筆入魂」前原淳 = 文)
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