37歳の織田信成が堂々SP5位発進 4回転成功の会心演技に大号泣「感極まってしまった」衣装仕掛け解放苦戦のハプニングも冷静「なんであかんの~」
「フィギュアスケート・全日本選手権」(20日、東和薬品ラクタブドーム) 男子ショートプログラム(SP)が行われ、2010年バンクーバー五輪代表の織田信成(37)=大阪スケート倶楽部=が11年ぶりの出場を果たし、会心の演技で今季ベストの84・53点をマークし、堂々5位につけた。フリーも最終グループでの演技となる。今季限りの引退を表明しており、21日のフリーが全日本ラストダンスとなる。 最終組の6分間練習で名前が呼ばれると、この日1番の大歓声に包まれた。SPは「国民的盛り上げソング」の「マツケンサンバ2」で盛り上げた。冒頭の4回転-3回転の連続トーループを降りると、その後もトリプルアクセル、3回転ルッツとジャンプも決め続けた。サンバのリズムに引き込まれた観客も手拍子とともに大熱狂。圧巻の内容で演技を終えると、両手を突き上げるマツケンサンバのポーズをしながら歓声に応えた。得点を待つキス&クライで思わず男泣きした。ジャンプはすべて加点付きで決め、構成点も上々のスコアを並べた。取材エリアでも「家族も見に来てくれてたくさん応援にきてくれていた。歓声がすごく力になってたくさん手拍子をいただいて感謝。4回転ジャンプを成功したいというプレッシャーで終わったあと感極まってしまった」と涙。37歳の挑戦に「年齢はただの数字。年を取ったからできないことはないとやってきた。今日は一歩近づいた」と、うなずいた。演技途中の曲調が変わる時に衣装を金色の袖に変化させる仕掛けがなかなか開かないアクシデントもあったが、「なんで全日本であかんの~と思いながら引っ張った」。かつて「社会の窓」チャック全開で滑っていたこともあった織田。ハプニングに愛されてきた氷上の人生だっただけに、トラブルでも冷静だった。 フリーでも4回転ジャンプに挑戦する予定で「若い子たちの力を吸収しつつ負けないように頑張りたい。入賞を達成できるようにフリーも頑張りたい」と、見据えた。 今大会の男子最年少は10年1月29日生まれの14歳・高橋星名(木下アカデミー)。天下統一を示す10年10月1日に生まれた長男信太朗くんも14歳で、37歳の“戦国武将”は息子とおない年の選手と銀盤で鎬を削った。 19日の公式練習の後には、取材中に子供の話題になるとまさかの号泣。「ちょっと待ってなんで泣いてるの~。ここで泣くつもりじゃなかった。ちょっと嫌や~」と自身に突っ込んでいた。“泣きキャラ”として知られるが、開幕前日から涙腺が緩んでしまったことで、「(選手が得点発表を待つ)『キスアンドクライ』が「『クライアンドクライ』になるかも」と苦笑いだった。