47年連れ添った夫を亡くし5年、ひとりになった平野レミが今でもやり続けてしまうこと
2019年に夫の和田誠さんを亡くし、ひとり分の自炊ごはんが日常となった平野レミさん。 先月人生初の自炊のための料理本『平野レミの自炊ごはん せっかちなわたしが毎日作っている72品』(平野レミ著 / ダイヤモンド社)を出版した。 【写真】出会って1週間で「結婚しよう」。平野レミさんの反応は…?
失敗しても自分流を通せたワケは
レミさんの料理と言えば、面倒なことは一切抜き、時短でラクチンで楽しい料理に定評がある。 そんなレミさんは、小学生の時に生まれて初めて作った“トマトうどんグラタン”から今に至るまで、人のレシピは見たことがない。 そのため、料理初心者でもやらない失敗を、何度も繰り返したことがあった。 それでもレミさんは「本を見ればよかった」だの「ルール通りにやればよかった」などの、“たられば”の考えに陥ることなく、自信を持って我が道を進んできた。 その陰には、毎日のように、おいしい、おいしいと言ってくれる存在がいた。 「私がお料理をおいしくしようって、一生懸命やるようになったのは、和田さんのおかげ」とレミさんは言う。 初めての自炊本を出した平野レミさんのインタビューでお届けする記事の後編。 前編「平野レミ『料理が楽しい』の原点。『フライパンだけで作るパスタ』ダメ出しされた日のこと」ではユニークな調理法がどこから生まれるのか、レミさんの料理の発想の原点をお聞きした。 続く中編「キャベツとレタスを同じものと思ってた『平野レミの嫁』が和田明日香に成長するまで」では、料理のルールも人のレシピも無用のレミさんの失敗談や、現在嫁姑として共演することも多い、料理家で食育インストラクターの和田明日香さんの料理の腕前について、率直に語っていただいた。 後編では、出会いから1週間でゴールイン。和田さんからプロポーズされ、嬉しさのあまり立ち上がってしまったレミさんの、亡き夫への想いをインタビューでお伝えする。
「一生のうち、どれくらい食べられるかな」
――和田さんはレミさんのお料理が大好きだったんですね。 お料理がおいしくなるよう一生懸命やるようになったのは、和田さんのおかげ。 いつも私の料理をおいしいね、おいしいね、って言ってくれるの。 結婚したばかりの頃、「一生のうち、レミの料理をどれくらい食べられるかな」って言うから、ふたりで計算してみたの。そうしたら考えていたより、ずっと少なかった。 料理作ってふたりで食べるなんて当たり前のこと、無限に続くと思っていたのに、現実はそんなにないじゃないって、その時にわかったの。 だったら和田さんのために一生懸命料理しようって思って作ると、和田さんがおいしいね、おいしいねって喜んで食べてくれた。 だから今、私がこうなっちゃったのは、和田さんのせい、いや、おかげかな、どっちかな(笑)。 こんなの食えねえよ、なんて言う人だったら、じゃあ、やんねえよ、ってなってたと思う。 私、和田さんにのせられちゃったのかなあ。 ちがうちがう。きっと本当においしいって、心からおいしいって言ってくれたんだと思う。 だって夜あちこちのパーティによばれても、出掛ける前に一度家に戻って、私のごはんを食べてから行くの。家に寄れない時は、パーティのごはんは何も食べないで家に帰って来て、「お腹減った」って。 ごはん一口でも、お茶一杯でも出すと、「うちで食べるとおいしいね」って、そう言ってましたから。