東郷町長のハラスメント、第三者委が事実認定 「殺すぞ」などと発言
愛知県東郷町長が複数の職員にハラスメント発言をしていたとされる問題で、弁護士でつくる第三者委員会が22日、調査報告書をまとめた。町長からハラスメントを受けたと申告した職員は108人にのぼり、「死ね」「殺すぞ」などの言動はハラスメントだと認定した。 【画像】地方自治体でハラスメント続発なぜ?首長に求められる「受け止め力」 問題となっているのは、同町の井俣憲治町長(57)。報告書によると、町が正規や臨時の職員ら計739人にアンケートを実施。約8割にあたる582人から回答を得た。町長からハラスメントを受けたとした人は108人。内訳はセクハラ28人、パワハラ79人、マタハラなど15人、その他26人だった(重複回答を含む)。さらに、第三者委が職員17人と町長、副町長から5日間、計約25時間の聞き取りをし、事実関係を確認した。 第三者委は、井俣町長が初当選した2018年5月以降、ハラスメント発言を日常業務で繰り返していたと認定。「お前らの脳みそはハトの脳みそより小さい」などの発言は「業務に必要かつ相当な範囲を超え、人格否定に等しい」と指摘した。 また、複数の職員の前で手術を控えている女性職員に「いつ巨乳になって帰ってくるの」と述べたセクハラ発言については「町長は冗談と説明したが、女性の身体に関する発言であり、女性職員に耐えがたい苦痛を与えるもので悪質と言わざるを得ない」と断じた。 原因と背景については「厳しい指導の延長線上でパワハラ発言が許されるという誤った考えがある」とし、町長のハラスメントに対して措置をとる制度が町にないことなども指摘した。 井俣町長はこの日、報道陣の取材には応じず、「4月26日の臨時町議会の前後を目途に会見の場を持ちたい」とする談話を出しただけだった。これまで不適切な発言があったことを謝罪したうえで、「第三者委の結論を待って進退を判断する」と述べていた。(松永佳伸、臼井昭仁)
朝日新聞社