<センバツ>「自信あった」 呉・沼田歩、巧みな本塁突入 普段の練習生きる
◇第91回選抜高校野球 ○市和歌山3-2呉●(23日・甲子園) 巧みな本塁突入だった。1点を追う九回1死後、呉の沼田歩は右中間三塁打を放つと、次打者の2球目にスクイズのサインでスタートを切った。打球が捕手の前に転がったのが見えたが、「危険でも行くしかない」と決断。スピードを緩め、捕手の動きを見定めてタッチをかわし、倒れ込みながら右手で本塁に触れた。「タッチされていない自信があった」。だからこそ、球審の「セーフ」のコールにも表情を変えなかった。 【延長十一回、劇的なサヨナラの瞬間】 普段の練習が生きた。内野手が一、三塁などの場面を想定してサインプレーの練習をする際、いつも走者役を務めていたという。「自分の走塁練習でもある。クロスプレーでの駆け引きも、いつも考えていた」。無我夢中の場面で、その成果を出した。 ただし、4番打者としてチームを勝利に導くことはできなかった。「打撃では全くタイミングを取れなかった。いい経験にはなったけど、成長は見られなかった」。試合後は涙とともに、後悔の言葉ばかりがあふれた。【平本泰章】