トランプ氏、グリーンランド購入に再び意欲 自治政府は「売り物ではない」と反発
グリーンランド自治政府は23日、領土を売却する意思がないことを再び表明した。アメリカのドナルド・トランプ次期大統領が、グリーンランドの所有を望んでいると発言したことを受けたもの。 次期大統領は22日、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、「世界の国家安全保障と自由のために、アメリカにはグリーンランドの所有と管理が絶対に必要だと感じている」と投稿した。トランプ次期大統領は1期目にも、グリーンランドを購入したいと述べたことがある。 これに対し、グリーンランドのムテ・エーエデ自治政府首相は、「グリーンランドはグリーンランドの人々のものだ」と強く反論した。 「我々は売り物ではないし、今後も売り物にはならない」 「我々は長い間続けてきた自由への闘いで負けてはならない。しかし、我々は世界中、特に近隣諸国との協力と貿易には引き続きオープンでなければならない」 グリーンランドはデンマークの自治領であり、大規模なアメリカの宇宙軍基地が存在する。また、アメリカから欧州各国への最短ルートの中にあるため、アメリカにとって戦略的に重要な場所でもある。 トランプ次期大統領のコメントに、デンマークはすぐには反応していない。 次期大統領はこの発言の数時間前、元スウェーデン大使のケン・ハウリー氏を、新たなデンマーク大使に指名する意向を発表した。 ハウリー氏は「この指名に深く謙虚な気持ちであり、コペンハーゲンのアメリカ大使館とグリーンランドのアメリカ領事館のスタッフと協力して、両国の絆を深めることを楽しみにしている」と述べた。 トランプ次期大統領は2019年にも、世界最大の島であるグリーンランドを取得したいと提案し、激しい反発を受けた。 当時のデンマーク首相のメッテ・フレデリクセン氏は、この提案を「ばかげている」と表現。トランプ氏はデンマークへの公式訪問を中止した。 グリーンランドの購入を提案した米大統領はトランプ氏だけではない。このアイデアは1860年代、アンドリュー・ジョンソン大統領の時代に初めて提案された。 トランプ次期大統領はまた、アメリカが1900年代初頭に建設し、現在は中米パナマが全面的な管理権を得ているパナマ運河について、アメリカの管理下に戻すよう訴えた。パナマが「法外な」通航料を請求していると非難している。 パナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領は、パナマ運河とその周辺地域はすべて、自国のものだと反発した。 また、大統領就任初日にカナダに新たな関税を課すとしており、それによってカナダ経済が疲弊するのであれば「アメリカの51番目の州になるべき」という内容の発言を繰り返している。 (英語記事 Greenland again tells Trump it is not for sale)
(c) BBC News