議会混乱、不信任案の動き…性的関係を巡る訴訟で和解の岸和田市長
岸和田市議会で、永野耕平市長(46)が不在の状態が続いている。永野氏が女性との性的関係を巡る裁判で和解したことについて、議会側が説明に納得せず、永野氏に議会への出席見合わせを申し入れたためだ。永野氏に対する不信任決議案の提案を検討する動きもあり、混乱の収拾は見通せていない。(前川和弘)
出席見合わせ
永野氏は性的関係を巡って女性から提訴され、11月、永野氏が解決金500万円を支払うことで和解した。地裁は和解調書で、永野氏について、「(女性より)優越的立場にあった」とし、公人で配偶者がいることも踏まえ、「性的な関係を持つことはよくよく自制すべきだったという非難は免れない」との所見を示した。 永野氏は当初、議会側に「裁判の内容は話せない」としていたが、今月6日の記者会見で、女性との不倫を認めて謝罪し、「対等な関係にあると思っていた」と釈明した。所属していた地域政党・大阪維新の会からは離党勧告処分を受け、離党した。
9日の市議会で記者会見と同様の説明をしたが、議会側は「説明になっていない。このまま質疑を行うのは困難」などとして、全会派一致で永野氏に議会への出席見合わせを申し入れた。10~12日に行われた一般質問では市長が不在の中、副市長らが答弁にあたり、質問を取り下げる市議もいた。
慎重な意見も
不信任案は、市議(24人)の3分の2以上が出席し、4分の3以上が賛成すれば可決となる。全市議が出席した場合、可決には18人の賛成が必要となる。 提案を前向きに検討しているのが、共産党(4人)だ。共産市議の1人は「(永野氏は)説明責任を十分に果たしていない」と話す。最大会派の公明党(6人)も提案に前向きとされる。 一方、他会派には慎重な意見もある。永野氏は続投に意欲を示しており、不信任案が可決された場合、「(永野氏は)返り咲きを狙って市長選に打って出るのでは」との臆測が広がっている。ある市議は、「準備期間が短く、永野氏に対抗できる候補がいない。不信任案を出すかは悩ましい」と話す。
白鳥浩・法政大教授(現代政治分析)の話「市長は十分な説明を果たしているとは言えない一方で、女性のプライバシーに関わることで説明できないというのも理解できる。市長と議会は対立を先鋭化させるのではなく、第三者委員会を設け、プライバシーを保護した上で客観的に調べるなど、慎重に判断する方法もあるのではないか」