夫が55歳で「早期退職」を考えています。退職金「1500万円」が出て、私もパートで「手取り月14万円」の収入があります。夫にもアルバイトなどで働いてもらえれば、今後の生活は問題ないでしょうか?
65歳以降、生活費は賄えるか?
それでは年金受給が始まったあとの、65歳以降の収支はどのようになるでしょう。総務省統計局の家計調査報告にある「65歳以上の夫婦高齢者無職世帯の消費支出内訳」によれば、図表2のように世帯の消費支出平均は月額25万959円です。 一方、厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、年金受給額は65歳以上の男性の厚生年金が月額平均16万7388円、女性が月額平均10万9165円で合計27万6553円になります。 少なくとも平均的な共働き世帯であれば、毎月の生活費が大幅な赤字になることはないでしょう。もらえる年金や必要な生活費は世帯で異なるため、一概には言えませんが、65歳時点で1000万円程度の貯蓄を維持し、長く働いたり、年金の繰下げ受給なども活用したりすれば、老後の不安を小さくすることは可能です。 図表2
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)家計の概要 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の消費支出内訳
早期退職の注意点は?
早期退職しても、年金受給開始までの間、生活費が賄える一定程度の収入があれば、退職金に手をつける必要がなく、老後の経済的な不安は大きくならないでしょう。しかし、早期退職すると受給可能な年金額も減り、さらに何らかの事情で再就職しようと思っても、望んだ条件で再就職できる保証はどこにもありません。 また、早期退職すると生活スタイルが変わり、家庭で過ごす時間も長くなる可能性が高くなります。老後資金の問題はもちろん、早期退職は他の家族の生活にも影響しますので、家族でよく相談した上で決めるようにしましょう。
まとめ
妻にパートで14万円程度の手取り収入があっても、55歳で早期退職して完全リタイアするのは難しいといえるでしょう。しかし、少しゆとりある働き方で、妻と同等程度の収入を得られれば、老後の経済的不安を小さくできます。早期退職を検討する際は、働き方も含めた50代後半以降のライフスタイルを想像しながら、家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。 出典 総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)家計の概要 厚生労働省年金局 令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況 執筆者:松尾知真 FP2級
ファイナンシャルフィールド編集部