首相指名選挙までに「石破おろし」が起こらない3つの理由 自民党内部は「責任は後で取らせればいい」
■高市氏に「石破おろし」のエネルギーはない 総選挙で躍進した国民民主党の玉木雄一郎代表は10月29日の会見で「(首相指名選挙は)1回目も2回目も玉木雄一郎と書く」と明言している。維新も馬場伸幸代表は「首班指名では『馬場伸幸と書いてもらう』」と発言している。共産党は立憲の野田佳彦代表と書くのを「前向きに検討」とした。 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「石破おろし」は起きないとみる。その理由を3つ挙げる。 「ひとつは、首相指名選挙まであと11日間しかない、という時間の問題です。そんな短期間にどうやって石破さんを引きずりおろすのか。石破おろしをしたくても、そんなヒマがないんですよ」 そして、こう続ける。 「もうひとつは、たとえば高市さんや萩生田さんに石破さんをおろすエネルギーがあるのか、ということ。総裁選に立候補した議員の中で、自分の推薦人が最も多く不出馬や落選したのが高市さん、次がコバホークこと小林鷹之さんです。つまり、自民党の右派が落ちたんです。自民党右派というのはイコール旧安倍派であり、2012年衆院選で当選した安倍チルドレンたちです。自分の“子分”がいなくなった高市さんや小林さん、萩生田さんに今、党内をひっくり返すパワーはありません」(角谷氏) 最後の3つ目の理由についてはこう語る。 「身もふたもない話ですが、石破さんを替えたところで議席が増えるわけではないからです。今、トップを替えるのは人材のムダ遣いです。それならば、石破さんにとにかくこの難局を乗り切らせて、最後は責任を取らせればいい。それが党内の雰囲気です」(角谷氏) 石破氏の今後について、前出の自民党元議員はこう語る。 「『政治とカネ』の問題、旧統一教会の問題など、石破さんらしくズバッとやってほしい。でも、石破さんは首相になってから全てが中途半端で、いつもキョロキョロとしている。小泉純一郎元首相は郵政解散の時に『殺されてもやる』と言って、反対する議員に刺客を放った。それで世の中の空気がガラッと変わったでしょう。石破さんも、短命政権になってもいいと開き直って、もっとやりたいことをやればいい」 追い詰められたときこそ、本来の「石破らしさ」を発揮してほしいものだ。 (AERA dot.編集部・上田耕司)
上田耕司