新学期は要注意 「学校に居場所ない」と家族・友人からも孤立━政府調査
学校で居場所がないと家族や友人にも「悩みを相談できない」の割合が高くなる
学校に在籍している人に特化した調査では、12.7%が「学校が居場所だと思わない」と答えている。40人のクラスのうち、5人いる割合だ。 学校を居場所だと思わないと答えた人は、家族に対しても、友人に対しても、「何でも悩みを相談できる人がいない」と思う割合が40%を超えていた。白書では、「現在在籍している学校を居場所と感じていない者は、家族・親族、学校で出会った友人という身近な相手とのつながりについても希薄である傾向がうかがえるところであり、孤立化し退学にまで結びついてしまうことを含めて懸念される群であると考えられる」としている。 居場所と感じている場の数や人とのつながりは、生活の充実度にどのような影響を与えているのだろうか。 家族、学校など6つの場について、それぞれ自分の居場所と思うかをたずねた質問と、生活の充実についてたずねた質問の関係を見ると、6つの場について、「いずれも居場所ではない」と回答した人については、生活が充実しているとの回答が25.3%にとどまった。居場所になっていると思うと回答した場の数が多くなるにつれ、生活が充実していると回答した者の割合が高くなった。 学校で出会った友人や地域の人とのつながりをたずねた質問項目でも、「何でも悩みを相談できる人がいる」と感じている人のほうが、いないと感じている人に比べて、「充実している」と回答した割合が高くなった。 これらの結果からは学校での孤立感を深めると、生活の充実度合いも著しく低くなることが見て取れる。 白書では、「若者が成長し自立する過程では、誰もが悩みを抱えたりつまずきを覚えたりすることがあるが、その際に大事なのは、ひとりで問題を抱え込み困難な状態に陥ってしまうことを防ぐことだ。そのためには、普段から、家庭の他にも自分がほっとできる居心地の良い場所を持つとともに、何かあった時に支えとなってくれる人との関わりを築いておくことが大切だ」としている。 放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰さんは、「子供が学校に居場所がないと感じる原因のひとつに、すべてを受け止めてくれるという感覚がないということが上げられる。フリースクールやアフタースクールでは子供の気持ちを尊重するので、そういう居場所で気持ちが切り替わることも多い」と指摘する。 「学校にどうしても行けなくて図書館や児童館といったところに一時的に避難することは構わないと思う。ただ、中長期的にみると、ずっと見守ってくれる大人がいる学校とのつながりは重要だ。担任の先生以外にもスクールソーシャルワーカーや保健室の先生といった大人もいるので、教室以外に居場所を見つけられると望ましい。また、フリースクールやアフタースクールといった学校ではない居場所があれば、そこの大人と信頼関係を築いていくことも効果的だ」と話している。