【米国株ウォッチ】約3年で株価2倍、医療機器ボストン・サイエンティフィック株の今後
米医療機器メーカーのボストン・サイエンティフィック(ティッカーシンボル:BSX)の株価は、2021年1月上旬以降、当時つけた36ドル台から現在の83ドル台まで2倍以上値上がりした。 株価売上高倍率が2020年の5.2倍から現在の8.2倍と約51%上昇したことからわかるように、この上昇は主に同社への投資家の期待が高まったことに起因しているだろう。さらに、同社の収益はこの期間に54%増加した。投資家は、同社の新製品や心臓手術用機器であるWATCHMANの売上が上昇したおかげで大きな利益を享受している。 ■過去の株式リターンと現在のバリュエーション BSXは過去3年間、いずれの年も株価を上昇させた数少ない銘柄のひとつだが、それでも常に市場に勝つには十分ではなかった。同社の株式リターンは、2021年に18%、2022年に9%、2023年に25%だったが、2021年はS&P500種株価指数のリターンを下回っている。 私たちは、BSXの株価は現在、十分に値付けされていると考える。私たちは同社の目標株価を83ドルとしており、これは現在の株価とほぼ同水準だ。株価売上高倍率は現在8.2倍となっており、これは過去5年間の平均である5.6倍よりも高い。新製品の市場シェア拡大と収益性の改善を考慮すれば、評価倍率の引き上げは妥当と思われるが、それでもBSXは今のところ十分に評価されていると考える。 ■新製品が同社の成長を牽引 ボストン・サイエンティフィックの年間収益は、総手術件数の増加に牽引され、2020年の99億ドル(約1兆3960億円)から直近の152億ドル(約2兆1430億円)へと約54%増加した。日本市場に投入したPOLARx(バルーン形状のカテーテル)や、Vercise(脳深部刺激装置)などの新製品が収益成長を牽引した。WATCHMANは、同社の「カーディオ・バスキュラー」セグメント(主に心臓・血管分野の診断・治療器具などを扱う)における重要な製品ラインである。直近では第2世代のWATCHMAN FLXが好調で、この傾向は当面続くと予想される。 同社はまた、売上高を伸ばすためにM&Aなども視野に入れている。2022年にBaylisを、2023年にはRelievant Medsystemsを買収し、収益の成長を強化した。また、同社はAcotecの株式の過半数を保有しており、これが中国での売上拡大に貢献している。加えて、同社は現在、AxonicsとSilk Road Medicalの買収を進めているところだ。 セグメント別で見ると、「カーディオ・バスキュラー」セグメントの売上が過去3年間で50%急増しただけでなく、医療外科機器などを扱う「メドサージ」セグメントと、心調律管理と神経調節デバイスなどを扱う「リズム&ニューロ(心調律管理と神経調節)」セグメントの売上もそれぞれ45%増加した。