西野監督の置き土産であるアンダー世代の躍進と久保建英の現在地とは?
久保がロシアから帰国後の初戦となった先月30日の藤枝MYFC戦を前にしたミーティングで、安間監督はロシア遠征で抱いた感想を久保に求めた。チームメイトたちの前で発した言葉に指揮官は成長の跡を感じずにはいられなかった。 「誰が上手いとかすごいとかではなくて、『武藤(嘉紀)選手と岡崎(慎司)選手の(攻守の)切り替えが半端ない』と言ったんですね。そういう点に着目するのは、いままでの彼にはなかったと思うので」 7日に東京江東区夢の島競技場で行われた福島ユナイテッドFC戦の前半10分には、7試合ぶりとなる今シーズン3点目を決めた。縦パスに抜け出したFW原大智の左サイドからの折り返しに、長い距離を走ってペナルティーエリア内へ侵入。利き足とは逆の右足をワンタッチで合わせた。 ゴール右隅へ狙いすましたように突き刺した一撃に、久保は「原選手からいい落としが来たので、落ち着いて決められた。こういう形もどんどん増やしていきたい」と前を見すえた。 このシーンにも安間監督は目を細めている。 「ワンタッチゴールが少ない子だったし、以前ならばシュートを打つところまでは入らず、味方をサポートする位置を選んでいたと思う。これも変化している点であり、もうちょっと待っていただけると、おそらくJ1でも再び出られると思います」 久保はロシアで世界を体感して感じるものがあったのだろう。 JFAに対する西野監督の置き土産にも映るアンダーカテゴリー世代の躍進は、出場資格のある2年後の東京五輪をへて、4年後のワールドカップカタール大会へたくましく紡がれていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)