西野監督の置き土産であるアンダー世代の躍進と久保建英の現在地とは?
迎えた2017年。ともにアジア予選を勝ち抜いていたU-20代表は5大会ぶり、U-17代表は2大会ぶりに年代別のワールドカップを戦い、そろってグループリーグを突破した。U-20、U-17、それぞれ決勝トーナメント1回戦で惜敗したが、新しい取り組みの成果が結果として現れた。 「現時点における世界との差がわかってくるので、それらを分析して、ピラミッドに例えれば裾野となる部分に反映させていく。そこから有望な子どもたちがどんどん出てきて、Jクラブによるさらにレベルの高い指導を通じて育成する。これが理想の形だと考えています」 田嶋会長が描いた中長期的な青写真が具現化するかどうかはまだ先の話になるが、確実に将来性豊かなプレーヤーが育ちつつある。西野監督が帰国会見で「A代表にとって代わる」とコメントしたことは何も過大評価ではない。今回、新たな試みとして、U-19日本代表メンバー23人をワールドカップのトレーニングパートナーとしてロシアへ帯同させた。彼らは、コロンビア、セネガル両代表戦を現地で観戦、ベースキャンプ地のカザンでA代表の選手たちと同じ時間を共有した。西野氏が技術委員長を務めていたときから計画されていたものだ。その2年後、4年後を見据えた23人の中で「A代表にとって代わる」べき代表格が久保だ。 昨年5月のU-20ワールドカップに「飛び級」で、同10月のU-17ワールドカップには主力で出場。昨年11月1日にはトップチームとプロ契約を結んだ。 シーズン終盤になってプロになった理由を、FC東京の大金直樹代表取締役社長は「レベルがより高い舞台で戦わせてあげたかった」と説明した。そして、久保自身はこんな所信を表明している。 「大切なのはスタートではなくゴール。これから先は長くなるが、自分の努力は裏切らないと思う」 迎えた2018年。アルビレックス新潟とのYBCルヴァンカップ予選リーグで圧巻の大会史上最年少ゴールを決めた久保だが、まだ、このレベルで輝くには課題があった。 J1の舞台ではすべて途中出場で4試合、プレー時間もわずか58分間にとどまっている。 5月に入ってからはベンチ入りメンバーからも外れ、主戦場をU-23チームが参戦しているJ3へ移した。今シーズンから指揮を執る長谷川健太監督が求めるレベルに、特に守備面で達していないとトップチームのコーチを兼任するFC東京U-23の安間貴義監督は久保の現在地を説明する。 「トップチームのサイドハーフは、強度がすごく高いプレーをしなければならない。長谷川監督のもとでいま、久保は守備の基本を教わっています。トップチームでなかなか出ていないので、どうしたんだと思う方もいるはずですけど、彼は確実に強くなっています」