ヤマト運輸“一人スト”男性が現状報告 「窓はあくようになった」それでも熱中症“危険”指数変わらず
「仕事中に手足をつるのが日常化」倉庫作業員の実態
また、会見にオンラインで参加した関西の倉庫で働くBさんはニュースで(Aさんが行った)ストを知り、ヤマト運輸の後ろ向きな対応に疑問を持ち、この度声を上げたとして、倉庫作業員の労働実態を次のように訴えた。 「私の事業所でも40度以上になることが多く、(Aさんのストライキ後である)8月22日になっても40度に達していました。送風機やスポットクーラー、あめやスポーツドリンク、窓を開ける、車のエンジンを切るといった対策はやってるものの、それでは全然カバーしきれないぐらいの暑さでした。 私自身、仕事の翌日に動けなくなり、病院を受診し熱中症の診断を受けたことが昨年と今年2回あります。仕事中に手足をつることや、気分が悪くなることは日常化しています。このような職場では、品質管理にも影響が出かねません。ヤマトには実態を真摯に受け止めて、施設の空調設備(の改善)、(屋根に)断熱塗料を塗るなどの前向きな対応を検討していただきたいと思っています」
職場における「熱中症相談」100件以上
男性を支援する個人加盟型の労働組合「総合サポートユニオン」の荻田航太郎氏は、先月より実施していた「熱中症ホットライン」およびオンラインアンケートに100件以上の相談が寄せられたとして、特に悪質な事例を公表した。 「倉庫の冷房が壊れたが、新しい冷房が設置されなかった」(物流・倉庫作業) 「昼間は(工場内が)42度にも達する。気温計を見せて企業に対応を求めたが、何も改善されない」(製造業) 「朝から30度を超え、日中は34度以上になる。湿度も65%以上に達する。熱中症対策は扇風機と冷風機のみ。上司に相談に行っても、辞めるなら辞めていいと言われる」(物流・倉庫作業) 「口では気をつけてと言うが、配達は終わらせろと言う。職場に昼に帰ってきた社員が、頭がいたく発熱してきたと言って(家に)帰ったが、翌日亡くなった。職場は熱中症について検討せず、コロナの可能性もあったと責任を感じていない」(運送業・配達) 荻田氏はこうした事例を受けて「多くの企業が安全対策にコストをかけていない」と指摘。さらに日本の過酷な働き方、労働規律の高さが職場での熱中症問題を深刻化させていると訴えた。 さらに、気候危機の高まりとともに、労働環境における熱中症は深刻な社会問題になっていくとして、「来年以降も、企業に対して熱中症対策を実施するよう呼び掛けていきたい」と語った。 「総合サポートユニオン」では、熱中症に関する労働者向けの無料相談「熱中症労働相談ホットライン」を9月22日、23日の午後1時~5時に開設する。電話番号は0120-987-215。
弁護士JP編集部